
京都府内で介護用品レンタル・販売事業(福祉用具貸与・特定福祉用具販売)を営む経営者様にとって、後継者不在による出口戦略は、単なる在庫(車椅子やベッド)の処分ではありません。長年築き上げた「居宅介護支援事業所(ケアマネジャー)との信頼関係」や、解約されない限り発生し続ける「安定した月額レンタル収益(ストック収入)」を正当な対価として受け取る「小規模M&A」の活用法を、実務的なロジックで解説します。
【スマホで30秒:この記事の結論】
介護用品レンタル事業は、一度利用が開始されれば、利用者の身体状況の変化や施設入所がない限り、年単位で収益が継続するストックビジネスです。この「収益の予測可能性」こそが、M&A市場において買い手企業が最も高く評価するポイントです。
(時価純資産) + (修正EBITDA × 3〜5年)
特殊寝台(介護ベッド)、車椅子、歩行器などのレンタル資産は、税務上の減価償却が終わって帳簿価額がゼロに近くても、現場で稼働している限り価値を生み出します。私が査定を行う際は、単なる台数ではなく「稼働率(保有台数に対するレンタル中の割合)」と「製造年次(耐用年数)」を精査します。
最新モデルへの入れ替え状況や、メンテナンスの履歴が完備されている場合、時価純資産として高く評価に加算されます。逆に、倉庫に眠っている旧式モデルや故障品は、将来の廃棄コストとしてマイナス査定の対象となるため、譲渡前に整理しておくことが重要です。
オーナー経営の場合、役員報酬や私的経費の足し戻しは当然ですが、この業種では「物流・洗浄コスト」を買い手の目線で再計算します。自社で洗浄ラインを持っている場合はその稼働効率を、外注している場合は、買い手企業(大手)が自社の洗浄センターを活用することで削減できる「シナジー効果」を利益に投影し、実質的な稼ぐ力を可視化します。この「買い手側で増える利益」を論理的に提示できるかどうかが、交渉価格の底上げに直結します。
買い手企業が「のれん代(営業権)」として数千万円を上乗せしてでも買いたいと判断する、実務的な評価項目を整理します。
この業種において、譲渡価格から直接「減額」される最大のリスクは、過去の介護報酬請求の不備です。成約直前の調査において、私が以下のポイントを厳格に確認するのは、買い手側が将来の返還請求リスクを極端に嫌うためです。
売上6,000万円程度の平均的な事業所をモデルにした、現実的な価格シミュレーションです。
● 時価純資産:1,200万円
(現預金、車両、メンテナンス済みの稼働レンタル資産)
● 修正後の実質利益(EBITDA):800万円
(オーナー報酬の適正化、シナジー効果の加味後)
● 評価倍率:4.0倍
(京都の特定エリアでの高いシェアと安定した紹介ルート)
● 営業権評価:3,200万円
譲渡想定価格:4,400万円
廃業を選んだ場合、レンタル品の回収には多額の人件費と車両費がかかり、さらに中古市場での処分価格は買い叩かれます。結果として、手残りは現預金の一部のみとなり、数千万円の「営業権」を自ら放棄することになります。M&Aは、これまで地域福祉に貢献してきた「仕組み」そのものを現金化し、かつ利用者へのサービスを途絶えさせない、唯一の合理的な選択肢です。
介護用品レンタル事業の売却で得たキャッシュは、次の投資やリタイア資金の柱となります。高値売却を実現するためには、少なくとも譲渡の1年前から以下の準備を進めておく必要があります。
ケアマネジャーとの信頼関係や、稼働中のレンタル資産の価値をロジカルに数値化します。廃業を決める前に、まずは現在の市場価値を確認してください。
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