2027年度の介護報酬改定で、訪問介護はどうなる|また下がる前に考えておく事業所の出口【京都】

2024年度の介護報酬改定で、訪問介護の基本報酬は引き下げられました。

今年6月には処遇改善加算が引き上げられ、訪問介護は最大28.7%と全サービスで最も高い率になりました。それでも、2024年に下げられた基本報酬そのものは、戻っていません。

処遇改善加算でどうにか埋めながら、人手を集めるための時給は上げ続けてきた。そういう日々を過ごしてこられた経営者は、少なくないはずです。

そして今、2027年度の次の改定に向けた議論が始まっています。

まだ何も決まっていません。だからこそ、決まってから慌てるのではなく、いま考えておけることがあります。

2027年度の改定は、いまどの段階にあるのか

厚生労働省の社会保障審議会・介護給付費分科会で、2027年度の介護報酬改定に向けた本格的な議論が始まったのは、2026年4月です。

示されているスケジュールは、おおよそ次のようなものです。

  • 2026年4月〜夏 主な論点の議論、事業者団体からの意見聴取
  • 2026年10月〜12月 具体的な方向性の議論
  • 2026年12月 報酬・基準の基本的な考え方をとりまとめ
  • 2026年12月下旬 改定率の決定
  • 2027年1月頃 改定案の諮問・答申

つまり、いまは論点を洗い出している最中です。訪問介護の基本報酬がどうなるかは、まだ誰にもわかりません。

ただ、はっきりしていることが一つあります。年内には方向性が固まるということです。

2024年に、なぜ下げられたのか

前回の引き下げには、明確な根拠がありました。

厚生労働省の調査で、2022年度決算における訪問介護の利益率が7.8%だったことが示されています。全介護サービスの平均が2.4%でしたから、3倍以上です。

他のサービスに比べて経営状態が良い。だから適正化する。これが引き下げの理屈でした。

この数字を見て、納得された経営者は少なかったはずです。日本医療労働組合連合会が2024年に行った調査では、基本報酬の引き下げについて94%の訪問介護事業所が反対と回答し、賛成は0件でした。

平均値と、自分の事業所の実感が、まるで合わない。それが現場の受け止めだったということです。

同じ論理が、次も使われるとしたら

2027年度の改定でどうなるかは、繰り返しになりますが決まっていません。引き下げられるとも、据え置かれるとも、まだ言えない段階です。

ただ、判断の材料になるのは、やはり経営実態の調査結果です。前回と同じ物差しが当てられることは、想定しておいたほうがいいかもしれません。

そして、その物差しは平均値です。平均より上に見える数字が出れば、規模の小さい事業所も一緒に扱われる可能性があります。

「あと3年、やれるか」という問い

訪問介護は、人件費の比率が高い事業です。

ヘルパーの時給は上げざるを得ません。上げなければ人が集まらず、人が集まらなければサービスを提供できない。一方で、報酬は自分で決められません。

収入の上限が制度で決まっていて、費用は市場で決まる。この構造の中で、小規模な事業所ほど吸収する余地がありません。

大手であれば、事業所を統合して管理部門を共通化する、システムを入れて事務を減らす、地域内で人を融通する、といった手が打てます。一つの事業所で完結している会社には、そのどれもが難しい。

2027年、そしてその次の2030年。この構造が続くとして、あと何年続けられるか。その問いは、制度が決まる前でも立てられます。

買い手は、むしろ増えています

制度が厳しくなると、事業を手放すしかないと感じられるかもしれません。ですが実態は、少し違います。

報酬改定で収益構造が変わったことをきっかけに、規模を拡大しようとする動きがかえって強まっています。効率化のためには、事業所を集めるしかないからです。

特定の地域で拠点を増やし、面で押さえる。そのために周辺の事業所を買い取る。訪問介護のM&Aは、経営難の会社を救済するためのものではなく、攻めの手段として定着しつつあります。

買い手が求めているのは、多くの場合、次のようなものです。

  • その地域で稼働している利用者と、ケアマネジャーとの関係
  • すでに働いているヘルパーと、サービス提供責任者
  • 指定を受けた事業所という、時間をかけないと手に入らない形

人が集まらないから拡大できない。だから、人がいる事業所に価値がある。この構造は、しばらく変わりそうにありません。

ただし、規模によって扱いは分かれます

ここは正直にお伝えしておきます。

M&Aの仲介会社が公開している訪問介護の譲渡事例は、売上が数億円という規模のものが目立ちます。売上が数千万円の事業所が、同じように扱ってもらえるとは限りません。

理由は手数料の構造にあります。仲介手数料には最低報酬額が設定されているのが一般的で、その水準は会社によって500万円から2,000万円程度とされています。譲渡価格が3,000万円の案件で最低報酬額が500万円なら、売却代金の16.7%が手数料になります。

大手が小規模な案件を扱いにくいのは、こうした事情によるものです。

つなぐパートナーズの最低報酬は200万円です。着手金はいただかず、成約するまで費用は一切かかりません。数千万円規模の譲渡でも、手元に残るものがあるように進められます。

訪問介護事業所を譲るときの流れ

実際にどう進むのか、大まかな流れをお伝えします。

1. まず、話を聞くところから

売ると決めていなくて構いません。「いくらくらいになるのか」「そもそも買い手がつくのか」を知りたいだけ、という段階のご相談が、いちばん多いです。

この時点で費用は発生しません。誰かに知られることもありません。

2. 事業所の状況を整理する

直近の決算書、利用者数の推移、職員の構成、指定の状況。このあたりを見せていただければ、おおよその見立てはお伝えできます。

訪問介護の場合、決算書の数字以上に、サービス提供責任者が残るかどうかが評価を左右します。

サービス提供責任者は、配置が基準で決まっています。いなくなれば、その事業所は事業を続けられません。買い手からすれば、事業所を買ったつもりが、翌月には運営できなくなっているという事態は避けたい。だからこそ、ここが最初に見られます。

経営者ご自身がサービス提供責任者を兼ねている事業所も少なくありません。その場合、「社長が抜けたら回らない」という状態そのものが、評価を下げる要因になります。逆に、経営者がいなくても回る体制ができているなら、それは決算書に表れない資産です。

ヘルパーの定着率も同じです。長く勤めている職員が何人いるか。その人たちが譲渡後も残る見込みがあるか。人を採るのに苦労している買い手にとって、ここは価格に直結します。

すぐに整えられるものではありませんから、譲ることを少しでも考えているなら、早めに手を打っておく価値があります。

3. 買い手を探す

同じ地域で拠点を増やしたい事業者、京都に進出したい事業者、隣接するサービスを持っていて訪問介護を足したい事業者。探し方はいくつかあります。

この段階でも、社名を伏せたまま進めます。従業員や利用者、ケアマネジャーに伝わることはありません。

4. 条件を詰める

価格だけでなく、職員の雇用をどうするか、経営者自身が引き継ぎ期間だけ残るのか、屋号を残すのか。こうした条件を一つずつ決めていきます。

「従業員の雇用を守ってほしい」というご要望は、ほとんどの経営者から出ます。買い手にとっても人材の確保が目的であることが多いので、この点は折り合いがつきやすい部分です。

5. 契約と引き継ぎ

契約を結び、行政への届出を行い、利用者とご家族への説明を進めます。この段階で初めて、外部に知られることになります。

相談から成約までは、半年から1年程度かかることが多いです。制度が変わってから動き始めると、間に合わないことがあります。

決まってからでは、選べる手が減ります

報酬が下がると決まった後で、同じ地域の事業所が一斉に動いたらどうなるか。買い手は選べる立場になり、条件は買い手に有利に傾きます。

逆に、まだ何も決まっていないいまなら、比較して選ぶ側に立てます。

続けるという判断でも構いません。むしろ、いくらで譲れるのかを知ったうえで「もう少し続ける」と決めたほうが、腹が据わります。

知ってから決める。それだけのことです。

京都で訪問介護事業を営まれている方へ

つなぐパートナーズは、京都の中小企業の事業承継・M&Aを専門にしています。代表の吾郷が、1,000件以上のご相談をお受けしてきました。

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