2026年6月、新しく指定を受ける障害者グループホームの基本報酬が引き下げられました。既存の事業所は据え置きです。
夜勤の世話人が一人抜けただけで、シフトが組めなくなる。入居者は家族と離れてここで暮らしています。閉めると決めても、この人たちは次にどこで寝るのか。それが見えなくて手が止まる。そういう方を何人も見てきました。
そして今、2027年度の次の改定に向けた議論が始まっています。8月27日には論点が示されました。
まだ決まっていません。だからこそ、決まってから慌てるのではなく、いま考えておけることがあります。
この記事で扱うのは、障害者総合支援法にもとづく共同生活援助です。介護保険の認知症対応型は制度が別で、グループホームの売却の記事で扱っています。
2027年度の改定は、いまどの段階にあるのか
厚生労働省の障害福祉サービス等報酬改定検討チームで、2027年度改定に向けた議論が始まったのは2026年4月です。8月27日の会合で「主な論点(案)」が示されました。
この先のスケジュールは、おおよそ次のようなものです。
- 2026年9月〜10月 サービスごとの検討
- 2026年11月 横断的な事項の検討
- 2026年12月 報酬改定の基本的な考え方をとりまとめ
- 2027年2月 改定案の提示
- 2027年4月 施行(介護報酬と同時改定)
論点案には、こう書かれています。営利法人を中心に事業所数や利用者数が大幅に増加しているサービスがある。めりはりのきいた報酬体系にする必要がある。
名指しはされていません。ただ、この4年で事業所が3割近く増えたのが障害者グループホームで、2026年6月の新規事業所の報酬引き下げも同じ理由からでした。厚生労働省はその措置を「2027年度改定に向けて検証する」としています。
年内には方向性が固まります。グループホームの報酬がどうなるかは、まだ誰にもわかりません。ただ、動き出してから決着までは1年もないということです。
2026年に、何が変わったのか
2026年6月、臨時の改定で新しく指定を受ける事業所の基本報酬が引き下げられました。既存の事業所には手をつけていません。
なぜグループホームだったのか。介護サービス包括型の事業所は、2022年4月からの4年間で9,788か所から12,590か所へ、29%増えました。日中サービス支援型は、利用者が8,202人から24,163人へと約3倍、費用は3.2倍です。
厚生労働省の経営概況調査では、介護サービス包括型の収支差率は2023年度の5.0%から2024年度は6.9%に上がりました。障害福祉サービス全体の平均6.5%より高い。事業所が増え、収支も悪くない。だから対象になりました。
ただし、平均の裏側があります。同じ調査で、介護サービス包括型の39.0%、日中サービス支援型の42.8%が赤字です。日中サービス支援型は収支差率が6.8%から5.1%に下がり、給与費の割合は63.2%から66.1%に上がりました。24時間の体制を人で支える類型ほど、人件費が先に上がっています。
平均は黒字、4割は赤字。それがいまの障害者グループホームです。
同じ論理が、次も使われるとしたら
2027年度の改定でどうなるかは、繰り返しになりますが決まっていません。
ただ、判断の材料になるのは、やはり事業所数の伸びと収支差率です。2026年は新規事業所だけに線が引かれました。次の改定でその線が既存の事業所にも引かれるのか、論点案は否定していません。
そしてその物差しは、法人の規模を問いません。1ユニット・定員5人の事業所も、同じ基準で見られます。
「あと何年、続けられるか」という問い
グループホームは、報酬が制度で決まり、費用は市場で決まる事業です。
世話人と生活支援員の人件費は上げざるを得ません。上げなければ夜勤が埋まりません。一方で、報酬は自分で決められません。
そして、入居者の住まいがかかっています。
就労継続支援であれば、閉所しても別の事業所に通う道があります。しかしグループホームの入居者にとって、ここは通う場所ではなく住む場所です。閉めるということは、その方の家がなくなるということです。
京都市は、グループホームの利用者を毎年100人ずつ増やす見込みを立てています。2023年度の1,043人から、2029年度には1,643人です。住まいを必要とする人は増え続けているのに、支える側の人が集まらない。
経営者はそれを知っています。だから、数字では閉めるべきだと分かっていても、決められない。
2027年、そしてその次の2030年。この構造が続くとして、あと何年続けられるか。その問いは、制度が決まる前でも立てられます。
引き受ける事業者は、むしろ増えています
制度が厳しくなると、閉めるしかないと感じられるかもしれません。ですが実態は、少し違います。
新しく開く事業所の報酬が下がった裏で、すでに指定を受けて稼働している事業所の価値は上がっています。拠点を増やしたい法人にとって、入居者がいて、世話人がいて、指定を受けているグループホームは、新規で開くより確実な選択肢になりました。
引き受ける側が求めているのは、多くの場合、次のようなものです。
- すでに入居している方と、その方々の生活を知っている世話人・生活支援員
- サービス管理責任者が在籍し、夜間の支援体制が回っていること
- 消防と建物の要件を満たした住居という、新規では確保しにくい形
入居者がいる事業所に価値がある。
そして、譲渡であれば入居者は同じ部屋で暮らし続けます。世話人も残ります。閉所では守れないものが、譲渡では守れる。これが、グループホームの事業承継で最も大きな違いです。
ただし、規模によって扱いは分かれます
これは隠さずに書いておきます。
M&Aの仲介会社が公開している福祉事業の譲渡事例は、複数拠点を持つ法人のものが目立ちます。1ユニット・定員5人という規模が、同じように扱ってもらえるとは限りません。
理由は手数料の構造にあります。仲介手数料には最低報酬額が設定されているのが一般的で、その水準は会社によって500万円から2,000万円程度とされています。譲渡価格が2,000万円の案件で最低報酬額が500万円なら、売却代金の4分の1が手数料になります。
つなぐパートナーズの最低報酬は200万円です。着手金はいただかず、成約するまで費用は一切かかりません。1ユニットの譲渡でも、手元に残るものがあるように進められます。
事業所を譲るときの流れ
実際にどう進むのか、大まかな流れをお伝えします。
1. まず、話を聞くところから
閉めると決めていなくて構いません。「引き受けてくれるところがあるのか」「入居者はそのまま住めるのか」を知りたいだけ、という段階のご相談が、いちばん多いです。
この時点で費用は発生しません。誰かに知られることもありません。
2. 事業所の状況を整理する
直近の決算書、入居者数と支援区分、世話人と夜勤の体制、サービス管理責任者の在籍、建物と消防設備の状況。このあたりを見せていただければ、おおよその見立てはお伝えできます。
グループホームの場合、決算書の数字以上に、サービス管理責任者と夜間の支援体制が残るかどうかが評価を左右します。
サービス管理責任者は欠けると減算、そのままでは指定の取り消しにもつながります。夜間支援は入居者の安全そのものです。だからこそ、ここが最初に見られます。
3. 引き受け先を探す
同じ地域で拠点を増やしたい法人、京都に進出したい法人、日中活動の事業所を持っていて住まいの場を加えたい法人。探し方はいくつかあります。
この段階でも、法人名を伏せたまま進めます。入居者やご家族、世話人に伝わることはありません。
4. 条件を詰める
価格だけでなく、世話人の雇用をどうするか、代表自身が引き継ぎ期間だけ残るのか、住居の賃貸借契約をどう引き継ぐのか。こうした条件を一つずつ決めていきます。
「入居者にそのまま住み続けてほしい」「世話人の雇用を守ってほしい」というご要望は、ほとんどの経営者から出ます。引き受ける側も入居者と世話人がいなければ譲り受ける意味がありませんから、折り合いはつきやすい部分です。
5. 契約と引き継ぎ
契約を結び、行政への届出を行い、入居者とご家族への説明を進めます。この段階で初めて、外部に知られることになります。
指定の扱いは、法人ごと譲るか、事業だけを譲るかで変わります。法人ごとなら指定は続き、事業だけなら引き受ける側が新たに指定を受けます。京都市内の事業所は京都市が指定権者で、事前相談は指定予定日の3か月前までと決まっています。4月2日から5月31日付の新規指定は原則行われないので、この時期をまたぐ計画では日程が後ろにずれます。京都市外は京都府で、受理から指定まで標準で2か月です。
入居者への説明は、世話人と一緒に、時間をかけて行います。部屋も顔ぶれも変わらないことを、繰り返し伝えます。ここは急いではいけません。
相談から成約までは、半年から1年程度かかることが多いです。制度が変わってから動き始めると、間に合わないことがあります。
決まってからでは、選べる手が減ります
報酬が下がると決まった後で、同じ地域の事業所が一斉に動いたらどうなるか。引き受ける側は選べる立場になり、条件は向こうに有利に傾きます。
逆に、まだ何も決まっていないいまなら、比較して選ぶ側に立てます。
続けるという判断でも構いません。むしろ、引き受け先があると知ったうえで「もう少し続ける」と決めたほうが、腹が据わります。
まず知る。決めるのは、そのあとで構いません。
入居者が日中に通う生活介護や就労継続支援も、同じ改定を控えています。同じ法人で運営されている方は、生活介護の2027年度改定もあわせてご覧ください。
京都で障害者グループホームを営まれている方へ
つなぐパートナーズは、京都の中小企業の事業承継・M&Aを専門にしています。代表の吾郷が、1,000件以上のご相談をお受けしてきました。
障害福祉事業のご相談も、これまで複数お受けしています。事業所が一つだけ、定員5人という規模でも、お話を伺います。
ご相談は無料です。売り込みは一切いたしません。秘密は必ずお守りします。
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まずはご相談ください
閉めると決めていない段階でも構いません。
「引き受け先があるのか」だけでも構いません。
一度、話を聞かせてください。
ご相談を、代表の吾郷が直接お受けします。


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