2027年度の報酬改定で、就労継続支援はどうなる|また閉所を迫られる前に考えておく事業所の出口【京都】

2024年度の報酬改定で、就労継続支援A型の事業所が相次いで閉所しました。

そのとき、経営者の頭にあったのは自分の生活ではなかったはずです。利用者はどこへ行くのか。従業員はどうなるのか。閉めると決めてからも、その顔が浮かんで手が止まる。そういう方を何人も見てきました。

そして今、2027年度の次の改定に向けた議論が始まっています。

まだ決まっていません。だからこそ、決まってから慌てるのではなく、いま考えておけることがあります。

2027年度の改定は、いまどの段階にあるのか

厚生労働省の障害福祉サービス等報酬改定検討チームで、2027年度改定に向けた議論が始まったのは2026年4月です。

示されているスケジュールは、おおよそ次のようなものです。

  • 2026年6月〜8月 事業者団体からの意見聴取
  • 2026年9月〜10月 サービスごとの検討
  • 2026年11月 横断的な事項の検討
  • 2026年12月 報酬改定の基本的な考え方をとりまとめ
  • 2027年2月 改定案の提示
  • 2027年4月 施行(介護報酬と同時改定)

就労継続支援について論点になっているのは、費用の伸びです。2024年度改定のあとも総費用は12%以上増えており、制度の持続可能性が問われています。

そして2026年6月の期中改定では、処遇改善加算は拡充された一方で、B型の工賃算定が見直され、新規事業所の報酬は引き下げられました。次の改定を待たずに、締めつけは既に始まっています。

年内には方向性が固まります。就労継続支援の報酬がどうなるかは、まだ誰にもわかりません。ただ、動き出してから決着までは1年もないということです。

2024年に、何が起きたのか

前回の改定で、A型の事業所には明確な基準が置かれました。

生産活動による収益で利用者の賃金を賄えていない事業所は、報酬を大幅に引き下げる。つまり、事業としての収支が成り立っていない事業所は、報酬で支える対象から外す、という判断です。

結果として、厚生労働省の集計では、2024年3月から7月までの5か月間で、A型の利用者4,279人が解雇されました。前年度は1年間で2,407人でしたから、倍近い人数が5か月で出たことになります。しかもこの数字は10人以上を解雇した事業所だけの集計です。実際はもっと多い。

解雇された方のうち、2,073人はB型の事業所へ移り、936人は再就職しました。行き場が見つかった方が7割いたのは、地域の受け入れ先が動いたからです。

それでも、残りの3割はどうなったのか。慣れた場所を離れて、通える距離に次の事業所があったのか。数字の裏に、一人ずつの生活があります。

同じ論理が、次も使われるとしたら

2027年度の改定でどうなるかは、繰り返しになりますが決まっていません。

ただ、判断の材料になるのは、やはり事業所の収支と費用の伸びです。前回と同じ物差しが当てられることは、想定しておいたほうがいいかもしれません。

そしてその物差しは、事業所の規模を問いません。利用者20人の事業所も、同じ基準で見られます。

「あと何年、続けられるか」という問い

就労継続支援は、報酬が制度で決まり、費用は市場で決まる事業です。

支援員の人件費は上げざるを得ません。上げなければ人が集まらず、人が集まらなければ配置基準を満たせない。一方で、報酬は自分で決められません。

そして、利用者の生活がかかっています。

飲食店なら、閉めれば客は他の店に行きます。訪問介護なら、別の事業所に切り替える道があります。しかし就労継続支援の利用者は、次を探すだけでは済みません。通える範囲に受け入れ先があるとは限りません。慣れた支援員から離れることに、耐えられない方もいます。工賃が途切れたら、生活はどうなるか。

経営者はそれを知っています。だから、数字では閉めるべきだと分かっていても、決められない。

2027年、そしてその次の2030年。この構造が続くとして、あと何年続けられるか。その問いは、制度が決まる前でも立てられます。

引き受ける事業者は、むしろ増えています

制度が厳しくなると、閉めるしかないと感じられるかもしれません。ですが実態は、少し違います。

複数の事業所を運営している法人にとって、すでに稼働している事業所は欲しい資産です。利用者がいて、支援員がいて、指定を受けている。それを新規で作るには、指定申請から利用者の獲得まで、1年以上かかります。

引き受ける側が求めているのは、多くの場合、次のようなものです。

  • すでに通所している利用者と、その方々を知っている支援員
  • サービス管理責任者が在籍していること
  • 指定を受けた事業所という、時間をかけないと手に入らない形
  • 生産活動の取引先や、販路

利用者がいる事業所に価値がある。これは事業を続けてきた方にとって、当然のことかもしれません。しかし閉所を考えているとき、この事実は見えにくくなります。

そして、譲渡であれば利用者は同じ場所に通い続けます。支援員も残ります。閉所では守れないものが、譲渡では守れる。これが、就労継続支援の事業承継で最も大きな違いです。

ただし、規模によって扱いは分かれます

ここは正直にお伝えしておきます。

M&Aの仲介会社が公開している福祉事業の譲渡事例は、複数拠点を持つ法人のものが目立ちます。1事業所・利用者20人という規模が、同じように扱ってもらえるとは限りません。

理由は手数料の構造にあります。仲介手数料には最低報酬額が設定されているのが一般的で、その水準は会社によって500万円から2,000万円程度とされています。譲渡価格が2,000万円の案件で最低報酬額が500万円なら、売却代金の4分の1が手数料になります。

つなぐパートナーズの最低報酬は200万円です。着手金はいただかず、成約するまで費用は一切かかりません。1事業所の譲渡でも、手元に残るものがあるように進められます。

事業所を譲るときの流れ

実際にどう進むのか、大まかな流れをお伝えします。

1. まず、話を聞くところから

閉めると決めていなくて構いません。「引き受けてくれるところがあるのか」「利用者はどうなるのか」を知りたいだけ、という段階のご相談が、いちばん多いです。

この時点で費用は発生しません。誰かに知られることもありません。

2. 事業所の状況を整理する

直近の決算書、利用者数と区分の内訳、支援員の構成、指定の状況、生産活動の内容。このあたりを見せていただければ、おおよその見立てはお伝えできます。

就労継続支援の場合、決算書の数字以上に、サービス管理責任者が残るかどうかが評価を左右します。

サービス管理責任者は配置基準で定められており、いなくなれば人員基準を満たせず減算となり、そのままでは指定の取り消しにもつながります。引き受ける側からすれば、譲り受けた翌月に運営できなくなる事態は避けたい。だからこそ、ここが最初に見られます。

経営者ご自身がサービス管理責任者を兼ねている事業所も少なくありません。その場合、「代表が抜けたら回らない」という状態そのものが、評価を下げる要因になります。逆に、代表がいなくても回る体制ができているなら、それは決算書に表れない資産です。

3. 引き受け先を探す

同じ地域で拠点を増やしたい法人、京都に進出したい法人、隣接する障害福祉サービスを持っていて就労支援を加えたい法人。探し方はいくつかあります。

この段階でも、法人名を伏せたまま進めます。利用者やご家族、支援員に伝わることはありません。

4. 条件を詰める

価格だけでなく、支援員の雇用をどうするか、代表自身が引き継ぎ期間だけ残るのか、事業所名を残すのか。こうした条件を一つずつ決めていきます。

「利用者の受け入れを続けてほしい」「支援員の雇用を守ってほしい」というご要望は、ほとんどの経営者から出ます。引き受ける側にとっても、利用者と支援員がいなければ譲り受ける意味がありませんから、この点は折り合いがつきやすい部分です。

5. 契約と引き継ぎ

契約を結び、行政への届出を行い、利用者とご家族への説明を進めます。この段階で初めて、外部に知られることになります。

利用者への説明は、支援員と一緒に、時間をかけて行います。環境が変わらないことを、繰り返し伝える必要があります。

相談から成約までは、半年から1年程度かかることが多いです。制度が変わってから動き始めると、間に合わないことがあります。

決まってからでは、選べる手が減ります

報酬が下がると決まった後で、同じ地域の事業所が一斉に動いたらどうなるか。引き受ける側は選べる立場になり、条件は向こうに有利に傾きます。

逆に、まだ何も決まっていないいまなら、比較して選ぶ側に立てます。

続けるという判断でも構いません。むしろ、引き受け先があると知ったうえで「もう少し続ける」と決めたほうが、腹が据わります。

知ってから決める。それだけのことです。

売却価格の決まり方や、引き受ける側にどのような法人があるかを詳しく知りたい方は、就労継続支援A型・B型のM&Aと事業承継にまとめています。

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つなぐパートナーズは、京都の中小企業の事業承継・M&Aを専門にしています。代表の吾郷が、1,000件以上のご相談をお受けしてきました。

障害福祉事業のご相談も、これまで複数お受けしています。事業所が一つだけ、利用者が20人という規模でも、お話を伺います。

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