不動産会社・不動産業の売却価格の相場は?M&Aの価格の決め方を解説

「うちの不動産会社はいくらで売れるのか」。相談の入口として、この質問は多くいただきます。不動産会社のM&A価格は、どのように決まるのでしょうか。

不動産会社の売却価格の基本的な考え方

小規模M&Aでは一般的に「時価純資産+年倍法(修正営業利益の数年分)」で算定されます。時価純資産とは、資産から負債を引いた純粋な財産価値です。年倍法とは、毎年の利益の何年分かを上乗せする考え方で、事業の継続価値を反映します。

不動産会社で特に価格に影響する要素

①管理物件数・管理手数料収入

不動産管理業の収益の核心は、管理物件数と管理手数料収入の安定性です。管理物件が多く、解約率が低ければ、安定した収益基盤として高く評価されます。管理物件100件と500件では、評価に大きな差が出ます。

②売買仲介の実績・顧客基盤

継続的な売買仲介の実績・地域での知名度・オーナーとの長年の関係は、数字には表れにくい価値ですが、買い手が引き継いだ後の収益見通しに直結します。

③宅建士・スタッフの人材

宅地建物取引士の資格を持つスタッフが複数いる場合は、事業継続性の観点から評価が上がります。逆に代表者一人に依存している場合は、買い手が引き継いだ後のリスクとして評価に影響することがあります。

価格の目安

一般的な参考値として、管理物件数が少なく売買仲介中心の小規模不動産会社では、年間利益の2〜3倍程度が一つの目安になります。管理物件が多く安定した管理手数料収入がある場合は、これより高い評価になることがあります。ただし財務状況・地域性・競合環境によって大きく異なります。

管理専門と売買仲介専門で価格の見方が変わる

管理専門の不動産会社

賃貸管理を主業とする不動産会社は、管理物件数と管理手数料収入の安定性が評価の核心です。管理戸数が多く解約率が低いほど、安定したストック収益として高く評価されます。年倍法の倍率も相対的に高くなる傾向があります。

売買仲介専門の不動産会社

売買仲介専門の場合は、収益が案件ごとに変動するフロー型のビジネスです。安定性の観点から管理専門より評価が低くなる傾向がありますが、地域での知名度・実績・顧客基盤が評価を補います。

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代表者依存度が評価に影響する

不動産会社で特に注意が必要なのが、代表者への依存度です。顧客・物件情報・交渉力のすべてが代表者一人に集中している場合、買い手が引き継いだ後に顧客が離れるリスクとして評価に影響します。複数のスタッフが機能を分担している会社は、より高く評価されます。

京都の不動産会社M&Aの特徴

京都は移住・転入需要・観光施設向けの物件需要が全国的にも高いエリアです。町家・古民家の売買・活用に特化した不動産会社は、通常の不動産会社より高く評価されることがあります。インバウンド需要の回復とともに、宿泊施設向け物件の取引実績を持つ会社への買い手ニーズが高まっています。

査定額の出し方を、数字で見る

「査定額」という言葉で検索される方が多いので、記事の前半で触れた考え方を、数字に置き換えて見ます。

たとえば、時価純資産が2,000万円、役員報酬を適正額に直したあとの営業利益が年600万円の会社なら、営業利益の2年分を足して3,200万円前後、3年分なら3,800万円前後が出発点になります。何年分にするかは、収益の安定性で決まります。管理料収入が中心で毎月の売上が読める会社は3年分に近づき、売買仲介が中心で年ごとの波が大きい会社は1〜2年分に寄ります。

管理専門の会社では、別の見方も使われます。管理戸数に月額管理料を掛けた年間の管理料収入を基準に、その一定年数分を営業権として上乗せする考え方です。買い手が管理会社の場合、自社の管理システムに乗せれば人件費がほとんど増えないため、この計算で高めに出ることがあります。

免許は引き継げるのか。株式譲渡と事業譲渡の違い

不動産会社の売却で最初に確認するのは、宅地建物取引業の免許をどう扱うかです。免許は会社(法人)に付いています。株式譲渡なら会社はそのまま続くので、免許も、管理委託契約も、賃貸借契約の管理者の地位も、そのまま残ります。役員と専任の宅建士の変更届を出すだけで済みます。

事業譲渡の場合は違います。買い手が自分の名義で免許を取り直す必要があり、営業保証金1,000万円を供託するか、保証協会に加入して弁済業務保証金分担金60万円を納めることになります。管理委託契約はオーナーごとに巻き直しが要ります。手間と時間がかかるため、買い手が既に免許を持つ不動産会社でない限り、株式譲渡が選ばれることがほとんどです。

逆に言えば、免許を持たない異業種の買い手(たとえば管理業務を内製化したい建設会社や、収益物件を持つ個人投資家)にとって、免許と専任宅建士がそろった会社を株式ごと買えるのは、新規取得に数か月かける手間を省けるという意味で価値があります。

査定額を下げる要因と、今から直せること

査定の場面で価格を下げる要因は、だいたい決まっています。

  • 代表者が専任宅建士を兼ねていて、他に有資格者がいない。買い手は「代表が抜けたら免許要件を満たせない」と見ます。宅建士を1人育てておくだけで、この減点は消えます。
  • 管理委託契約書が古い、または口約束のオーナーがいる。買い手のDD(調査)で契約の有無を1件ずつ確認されます。契約書を整えるのは売却前にできる作業です。
  • 物件情報や顧客の連絡先が代表者の頭の中にしかない。引き継ぎに時間がかかると判断され、価格ではなく「引き継ぎ期間中の残留」を条件にされることがあります。
  • 過去に行政処分や免許更新時の指摘がある。隠しても更新履歴で分かります。先に説明したほうが評価は下がりません。

反対に、管理戸数の解約率が年5%未満で安定している、オーナーとの契約が書面でそろっている、宅建士が2名以上いる、という会社は、上に書いた倍率の上限側で話が進みます。

費用の一部は補助金で戻る

不動産会社の売却では、契約書の作成や登記、買い手側のDDに専門家費用がかかります。国の事業承継・M&A補助金(専門家活用枠・売り手支援類型)は、FAの報酬やDD費用を対象に上限600万円、直近決算が赤字か営業利益率が下がっている会社は補助率3分の2です。16次公募は2026年10月2日から11月6日まで受け付けます。

京都府内の会社なら、京都産業21のM&A型事業承継支援補助金(上限100万円・補助率2分の1)も併願できます。こちらはDDや契約書作成の専門家費用が対象で、FAの報酬は対象外です。同じ費用に両方は使えませんが、経費を分ければ両方使えます。詳しくは京都で会社の売却・引継ぎを考えたら知っておきたい「2つの補助金」にまとめています。

まず財務諸表を見せていただければ

「自分の会社がいくらになるか知りたい」という入口で構いません。財務諸表(決算書)を見せていただければ、おおよその価格帯をお伝えできます。売却を決めていない段階でも対応しています。


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まずはご相談ください

「売ると決めたわけではない」という段階でも構いません。

会社がいくらになるのか、廃業と売却どちらが得なのか。そういった入口でも、お話をお聞きします。

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監修:中小企業診断士・事業承継士 吾郷 泰佑
京都府を中心に、小規模M&A・事業承継のご相談に1,000件以上向き合ってきました。完全成功報酬で、ご相談から成約まで代表が直接伴走します。
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