事業承継・M&A補助金の16次公募は、2026年10月2日から11月6日17時まで申請を受け付けます。交付決定は2027年1月下旬の予定です。
この時期になると、会社を売る側の経営者から「うちの売却にも使えるのか」「もう仲介の人と話を始めているけれど、間に合うのか」という相談が増えます。
売り手が使えるかどうかは、会社の従業員の数と、専門家と契約した時期の2つでほぼ決まります。この記事では、京都府内で会社や事業の売却を考え始めた方が、申請の前に自分で判定できるように、公募要領の内容を売り手の側から整理します。
売り手が使える枠は2つ、分かれ目は従業員の数
専門家活用枠の中で、会社を譲り渡す側が使える類型は「売り手支援類型」と「小規模売り手支援類型」の2つです。同じ公募回で両方に申し込むことはできません。
小規模売り手支援類型に入れるのは、小規模事業者等にあたる会社です。目安は常時使用する従業員の数で、業種によって基準が違います。
| 業種 | 従業員の数 |
|---|---|
| 製造業・その他 | 20人以下 |
| 商業・サービス業 | 5人以下 |
| 宿泊業・娯楽業 | 20人以下 |
飲食店や美容室、小売店は商業・サービス業にあたるため、従業員が5人を超えると小規模類型には入りません。同じくらいの規模の会社でも、業種によって入る会社と入らない会社が分かれます。
2つの類型の主な違いは次のとおりです。
| 項目 | 小規模売り手支援類型 | 売り手支援類型 |
|---|---|---|
| 補助率 | 2/3以内 | 1/2以内(赤字または営業利益率が下がった場合は2/3以内) |
| 補助の上限 | 450万円 | 600万円(DDの費用で+200万円) |
| 補助の下限 | なし | 50万円 |
| M&Aが成立しなかった場合の上限 | 50万円 | 300万円(原則としてDD費用のみ) |
| 対象になる主な費用 | 着手金や成功報酬などの専門家の手数料、マッチングサイトの登録費用など | 小規模類型と同じ区分(専門家の手数料、マッチングサイトの利用料など) |
小規模類型で目を引くのは、補助の下限がないことです。手数料の総額が小さい小規模な売却でも、対象から外れません。
申請の前に確かめる6つのこと
使えるかどうかは、次の6つを順に確かめると判断できます。
- 小規模事業者等にあたるか。上の表で、業種と従業員の数を確かめます。
- 依頼するFAや仲介業者が、M&A支援機関登録制度に登録されているか。FAや仲介の相談料、着手金、成功報酬などは、登録されたFA・仲介業者に払ったものだけが対象です。
- 専門家との契約が、交付決定の後になるか。次の節で説明します。ここがいちばん多い落とし穴です。
- 交付決定から14か月以内に、クロージングと支払いまで終えられるか。期間を過ぎた支払いは対象外です。
- GビズIDプライムを取得しているか。申請はJグランツでの電子申請で、GビズIDプライムのアカウントが要ります。取得には1〜2週間、混み合う時期は3週間ほどかかります。
- 専門家との契約に着手金があるか。M&Aが成立しなかったときの自己負担に関わります。
いちばん多い落とし穴|交付決定より前に結んだ契約は対象にならない
この補助金は、交付決定を受けた後に契約・発注し、補助事業期間の中で支払いまで終えた費用だけが対象です。申請より前、あるいは交付決定より前に結んだ契約は、あとから対象に入れることはできません。
つまり、すでに仲介会社やFAと契約して買い手探しが進んでいる案件は、その契約の費用は対象外になります。これは国の補助金の話で、京都府の補助金は扱いが違います(後の節で説明します)。
今回の日程に当てはめると、流れは次のようになります。
| 時期 | すること |
|---|---|
| 2026年11月6日まで | 申請 |
| 2027年1月下旬(予定) | 交付決定 |
| 交付決定の後 | 専門家と契約 |
| 交付決定から14か月以内(2028年3月下旬ごろまで) | クロージングと支払いを終える |
補助金を使うなら、専門家との正式な契約は来年の1月下旬以降になります。急いで話を進めたい場合や、すでに相手が見つかりかけている場合は、補助金に合わせて待つかどうかを先に決める必要があります。
成立しなかったときの負担は、契約の中身で変わる
M&Aは、始めても必ず成立するとは限りません。小規模売り手支援類型では、補助事業期間の中でM&Aが成立しなかった場合、補助の上限は50万円になります。対象は着手金やマッチングサイトの利用料、DDの費用などです。
このため、成立しなかったときに手元から出ていくお金は、専門家との契約に着手金や月額の費用があるかどうかで大きく変わります。着手金がある契約では、成立しなくてもその費用がかかり、補助は50万円までです。成功報酬だけの契約なら、成立しなければ手数料はそもそも発生しません。
補助金が出るかどうかだけで比べるのではなく、「成立しなかったとき、いくら自分で払うことになるか」を、契約書の条件で確かめてから申請を考えてください。
国の補助金と京都府の補助金、どちらで何を出すか
京都府には、京都産業21が窓口の「M&A型事業承継支援補助金」があります。補助率は1/2、上限は100万円で、1つの譲渡契約では譲渡する側と譲り受ける側の申請を合わせて100万円までです。国の補助金とは、対象になる費用の範囲が分かれています。
| 費用 | 使える補助金 |
|---|---|
| FAや仲介の相談料、着手金、成功報酬 | 国の事業承継・M&A補助金 |
| 譲渡契約の前に行う財務や法務の調査(DD) | 国・京都府のどちらか |
| 契約書の作成、登記事項の変更、就業規則などの整備を外部の専門家に頼む費用 | 京都府の補助金 |
京都府の補助金では、FAや仲介の相談料、着手金、成功報酬は対象になりません。医療法人や社会福祉法人、NPO法人なども対象外で、予算に達した時点で受付が終わります。実績報告は、事業が終わった日から14日を経過した日か、2027年3月8日のどちらか早い日までです。申請の前に、京都産業21のコーディネーターの事前相談を受けることが条件になっています。
もう一つ、国と大きく違う点があります。京都府の補助金は、事前着手の届け出が認められれば、交付決定より前に結んだ契約も対象の期間に入れられます。条件は、2026年4月7日以降に着手していて、支払いがまだ終わっていないことです。
ただし、FAへの報酬はもともと京都府の補助金の対象ではありません。すでに話が進んでいる案件で京都府の補助金を使えるのは、契約書の作成や登記など、府の補助金が対象にしている費用のうち、まだ払っていないものに限られます。
国と府の両方に申請することはできますが、国の補助を受けた費用に府の補助を重ねることはできません。どの費用をどちらに出すかを、申請の前に分けておいてください。
使えなかったときに考えること
従業員が基準を超えていた、すでに専門家と契約していた、14か月では終わりそうにない。補助金が使えない理由はいくつかありますが、それで売却の判断そのものを止める必要はありません。
補助金は、費用の一部を助けるものです。補助金の日程に合わせて売る時期を決めると、従業員に話すタイミングや、買い手の都合と噛み合わなくなることがあります。
従業員の雇用と、長く付き合ってきた取引先との関係を守れる相手に、よい時期に引き継ぐ。その順番で考え、補助金は使えるときに使う、という位置づけで十分です。
京都で会社の売却を考え始めた方へ
16次を使うかどうかは、会社の規模と業種、そして話がどこまで進んでいるかで変わります。「うちは小規模類型に入るのか」「今の話し合いを止めて待つべきか」といった段階から、ご相談いただけます。当社はM&A支援機関登録制度に登録しています。
この記事の数字と出典
| 項目 | 数字 | 出典 |
|---|---|---|
| 16次公募の申請受付 | 2026年10月2日〜11月6日17:00(Jグランツでの電子申請) | 事業承継・M&A補助金 16次公募要領(小規模売り手支援類型) |
| 交付決定と補助事業期間 | 交付決定は2027年1月下旬予定、補助事業期間はそこから14か月以内 | 同上 |
| 小規模売り手支援類型 | 補助率2/3以内、下限なし、上限450万円(廃業費+150万円) | 同上 10章 |
| 小規模事業者等の基準 | 製造業その他20人以下、商業・サービス業5人以下、宿泊業・娯楽業20人以下(従業員の数) | 同上 5章 |
| M&Aが成立しなかった場合の上限 | 小規模売り手支援類型50万円(着手金・システム利用料・DD費用)、売り手支援類型300万円(原則DD費用のみ) | 同上 10章(注1)/16次公募要領(専門家活用枠)10章(注4) |
| 京都府補助金の事前着手 | 事前着手届が認められれば、2026年4月7日以降の着手を補助対象期間に含められる(支払い済みの経費は対象外) | 京都産業21「令和8年度M&A型事業承継支援補助金」 |
最終確認:2026年9月25日
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監修:中小企業診断士・事業承継士 吾郷 泰佑
京都府を中心に、小規模M&A・事業承継のご相談に1,000件以上向き合ってきました。完全成功報酬で、ご相談から成約まで代表が直接伴走します。
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