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2025年10月22日

飲食店、居抜き譲渡とM&Aの違い|どちらが有利?

事務所だより|岡山県の相続専門司法書士たてやま法務事務所

居抜き譲渡とM&Aの違い|どちらが有利?



飲食店を手放すとき、「居抜きで売る」と「M&Aで譲る」──この2つの方法を混同している経営者が少なくありません。
どちらも“店舗を引き継ぐ”という点では同じですが、契約の仕組みや評価される対象、そして得られる金額がまったく違います。
今回は、居抜き譲渡とM&Aの本質的な違いを整理し、どちらが経営者にとって有利なのかを解説します。



1.「居抜き譲渡」とは?


居抜き譲渡とは、店舗設備や内装をそのままの状態で新しいテナントに引き渡すことを指します。
「造作譲渡」や「居抜き売却」とも呼ばれ、主に不動産仲介会社や店舗専門サイトを通じて行われます。




【居抜き譲渡の特徴】

・譲渡対象:内装・厨房設備・什器などの物的資産のみ

・譲渡価格:数十万円~数百万円程度

・契約形態:造作譲渡契約(不動産契約とは別)

・メリット:短期間で現金化できる/撤退コストを抑えられる

・デメリット:売上・ブランド・従業員は評価対象外


つまり、居抜き譲渡は「店舗の箱」を次の人に譲るイメージです。
店舗の“魂”までは引き継がれません。



2.「M&A」とは?


M&Aは、会社や事業そのものを譲渡する方法です。
設備だけでなく、取引先・従業員・ブランド・ノウハウ・顧客などの「営業資産」を含めて引き継ぐことができます。




【飲食店M&Aの特徴】

・譲渡対象:会社(株式)または事業全体

・譲渡価格:業績・ブランド価値を含め数百万円~数千万円

・契約形態:株式譲渡契約または事業譲渡契約

・メリット:従業員や顧客を守れる/ブランドが残る

・デメリット:手続きが複雑/一定期間の引継ぎが必要


特に「味を残したい」「スタッフを路頭に迷わせたくない」と考える経営者にとって、M&Aは単なる売却ではなく“次の経営者へ託す”という手段になります。



3.比較でわかる、経営者にとってのメリット・デメリット







































項目 居抜き譲渡 M&A
譲渡対象 店舗設備・内装などの有形資産 事業全体(顧客・従業員・ノウハウ含む)
譲渡価格 数十万~数百万円 数百万円~数千万円
スピード感 早い(1~2カ月) やや時間がかかる(3~6カ月)
手続きの複雑さ 簡易 やや複雑(契約・調査など)
ブランド・従業員 引継ぎ不可 引継ぎ可能
主な買い手 新規開業者・個人 既存企業・多店舗経営者


要するに、「早く閉めたいなら居抜き」「店を残したいならM&A」です。
どちらが“良い”というより、目的によって選び方が変わります。



4.どちらが「有利」か?──譲渡目的で分かれる



① 金銭面で有利なのはM&A

M&Aでは「営業利益×業界倍率」で評価されるため、
黒字経営の店舗であれば、居抜きよりも高く売れる可能性が高いです。



② スピード優先なら居抜き譲渡

赤字・閉店前提のケースでは、造作譲渡で早期撤退する方が損失を最小化できます。



③ スタッフや顧客を守りたいならM&A

居抜き譲渡では従業員が解雇扱いになりますが、M&Aなら雇用をそのまま維持できる点が大きな違いです。




【京都の実例】

祇園の小料理店では、店主が70歳を迎えるタイミングでM&Aを選択。
店舗・レシピ・スタッフをそのまま引き継いだ結果、屋号も味も変わらず、地域に根付いた「二代目店主」が今も営業を続けています。
一方で、同じ通りの別店舗は居抜きで譲渡したものの、1年後には別業態に変わり、常連客が離れてしまいました。


5.まとめ:目的に合わせて「最適な出口」を選ぶ


居抜き譲渡もM&Aも、“事業をどう終えるか”という選択肢のひとつです。
違いを理解し、「スピード」か「想いの継承」かを明確にして選ぶことが大切です。
もし迷うようであれば、契約内容や費用面を比較したうえで、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。



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