M&Aマッチングサイトで会社を買う前の注意点|中身の確認は、買い手の仕事になる【京都】

M&Aのマッチングサイトで、気になる会社を見つけた。サイトの中で売り手と直接やりとりができ、話も進みそうだ。仲介会社に頼むより、手数料も抑えられる。

便利な仕組みですが、一つ知っておきたいことがあります。サイトが手伝ってくれるのは、売り手と出会うところまでです。その先の、会社の中身を確かめる作業は、買い手が自分で進めることになります。

この記事では、京都でマッチングサイトを使って会社を買おうとしている方に向けて、サイトの役割と、自分で確認を進めるときの順番と注意点を整理します。

マッチングサイトは「出会い」までを手伝う場所

主なマッチングサイトの利用規約を見ると、どのサイトも、掲載されている案件の情報が正しいかどうかを運営者は保証しない、と定めています。売り上げや利益の数字、従業員の人数、設備の状態などは、売り手が自分で入力したものです。サイトに載っている売り上げや利益は、決算書や試算表と突き合わせて、初めて確かめたことになります。その数字が、いつの時点の、どの資料から取ったものかも、あわせて聞いておくと安心です。

サイトによっては、よくある質問の中で、当事者どうしがやりとりし、サイトは間に入らないと説明しています。サイトを通じて紹介される専門家についても、運営者は保証しないとしている規約があります。

国の「中小M&Aガイドライン」でも、マッチングサイトの役割は、売り手と買い手を引き合わせるところまでにとどまるのが一般的で、その後の交渉は原則として当事者が行う、と整理されています。

つまり、サイトで見た数字を確かめるのも、条件を話し合うのも、買い手自身の仕事です。

仲介を入れる場合と、自分で進める場合の違い

作業 仲介を入れる場合 マッチングサイトで自分で進める場合
相手を探す 仲介が候補を探して紹介する サイトで自分で探す
秘密保持の約束 仲介が段取りを手伝う サイト所定の誓約や、当事者どうしで結ぶ
資料の依頼 仲介が間に入る 売り手に直接頼む
中身の確認 買い手が専門家に頼み、仲介が段取りを手伝う 買い手が自分で進めるか、専門家に頼む
条件の話し合い 仲介が間に入る 当事者どうしで話す

仲介を入れると、買い手の側にも仲介の手数料がかかります。マッチングサイトにも、成約したときに買い手が払う手数料があるのが一般的です。中小M&Aガイドラインでは、マッチングサイトの買い手側の手数料は、譲渡額等の数%程度とされることが多いとしています。仲介を入れなければ仲介の手数料はかかりませんが、そのぶん、仲介が担っていた段取りを自分で担うことになります。

個人のM&Aで失敗が起きやすいところ

買う前の確認を省くと、次のようなことが、買った後に見つかることがあります。

  • 帳簿に載っていない借金や、未払いのお金があった
  • 主な取引先との契約が、引き継げなかった
  • 事業に必要な許可を、取り直さなければならなかった
  • 頼りにしていた従業員が、引き継ぎの後に辞めてしまった

帳簿に載っていない借金の見つけ方は、会社を買う前の確認をまとめた記事で、許可の扱いは業種ごとに整理した記事で、詳しく書いています。

中小M&Aガイドラインは、買う前の確認(デューデリジェンス)を、主に買い手が専門家を活用して調べる工程としています。予算に限りがあっても、範囲を絞って行うことが望ましいとしています。

売り手と直接やりとりするときに気をつけること

秘密保持の約束を結んでから、資料をもらう。会社の実名や詳しい資料は、サイト所定の秘密保持の誓約を経てから出てくるのが通常です。サイトによっては、誓約の書式を修正できないこともあります。もらった資料を専門家に見せてよいか、その範囲も確かめておいてください。

話が進んだら、大枠を書面にする。確認に時間とお金をかける前に、条件の大枠と、一定の期間ほかの相手と交渉しない約束を、書面で交わすことがあります。確認を進めている間に、別の買い手に決まってしまうのを避けるためです。

値段の話を急がない。確認の前に値段を決めてしまうと、確認で問題が見つかったときに、話し直しがしにくくなります。値段は、確認の結果を見てから詰める方が、お互いに納得しやすくなります。

相手にとっては、長く続けてきた会社。売り手にとって、会社は長い年月をかけて守ってきたものです。資料を求めるときも、なぜ必要なのかを伝え、順番に進める方が、話はうまく運びます。

自分で確認を進めるときの順番

  1. 秘密保持の約束を結ぶ
  2. 資料をもらう(直近数年分の決算書、借入の一覧、主な契約書、従業員の状況、許可)
  3. 資料を読み、分からない点を質問にまとめて売り手に聞く
  4. 現地を見て、社長と話す。従業員に話を聞くかどうかは、売り手と相談して決める
  5. 条件の大枠を書面にし、詳しい確認を進め、最後に契約書を結ぶ

それぞれの段階で何を確かめるかは、会社を買う前の確認をまとめた記事で詳しく書いています。

自分だけで進めるのが不安なとき

マッチングサイトのよくある質問にも、確認は個人どうしでもできるが、専門家に頼むことを勧める、という記載があります。とはいえ、すべてを専門家に任せると、費用が買う会社の規模に見合わないこともあります。

専門家に頼むときは、何を確かめてほしいのかを先に絞っておくと、費用も時間も抑えやすくなります。

自分で確認を進めながら、決算書の読み方や契約書の要所など、分からないところだけ専門家に意見を聞くという形もあります。

京都で会社を買おうとしている方へ

マッチングサイトで見つけた会社を買うかどうかを決めるのは、買い手自身です。その判断の材料をそろえるのも、買い手の仕事になります。

当社は、京都府内で会社や事業を買う側のご相談もお受けしています。サイトで見つけた会社について、何をどこまで確かめればよいか。そこから一緒に考えます。

この記事の数字と出典

項目 数字 出典
マッチングサイト(M&Aプラットフォーム)の役割 マッチングまでにとどまるのが一般的。その後の交渉等は原則として当事者が行う 中小企業庁「中小M&Aガイドライン(第3版)」p.59
マッチングサイトの買い手側の手数料 マッチング後のクロージング時の成功報酬型が多く、譲渡額等の数%程度とされることが多い(仲介・専門家への報酬は別途) 中小企業庁「中小M&Aガイドライン(第3版)」p.59
買う前の確認(デューデリジェンス) 主に譲り受け側がFAや士業等専門家を活用して調査する工程。予算に制約があっても範囲を絞って実施することが望ましい 中小企業庁「中小M&Aガイドライン(第3版)」p.47–48
掲載情報の正確性 運営者は保証しない(主なマッチングサイト4つの利用規約で確認) 主なマッチングサイトの利用規約(2026年9月28日確認)

最終確認:2026年9月28日

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監修:中小企業診断士・事業承継士 吾郷 泰佑
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