「自分の会社はいくらで売れるのか。」
建設会社・建築会社の経営者から相談を受けるとき、最初に出てくる質問です。後継者がいない、体力的に限界が近い、人材確保が難しい——理由はさまざまですが、まず売却相場を知ることで現実的な判断ができるようになります。
建設会社・建築会社の売却相場
建設業のM&Aにおける売却価格は、主に「年間利益の倍数(マルチプル)」で計算されます。
- 一般的な目安:営業利益の2〜5倍
- 年間営業利益が500万円の会社 → 売却価格の目安は1,000万〜2,500万円
- 年間営業利益が1,000万円の会社 → 2,000万〜5,000万円
- 年間営業利益が2,000万円の会社 → 4,000万〜1億円
ただしこの倍数は、以下の要素によって大きく上下します。
京都の建築会社・建設会社の売却相場は、全国的な目安よりやや高めに評価される傾向があります。歴史的建造物の保全・修復技術、京町家改修のノウハウ、寺社仏閣の専門工事など、京都ならではの需要と技術が評価要因として加わるためです。一方、純粋な住宅建築や公共工事中心の会社については、全国的な相場と大きく変わりません。
価格の幅(営業利益の2〜5倍という開き)は、許可・経審点数・有資格者・取引先の4要素で決まります。同じ営業利益でも、特定建設業許可を持ち、経審点数が高く、一級施工管理技士・一級建築士の有資格者が複数在籍し、安定した元請関係を持つ会社は、倍率の上限側で評価されます。
売却価格を決める要素
①建設業許可の種類・等級
建設業許可(一般・特定)、許可業種の数、大臣許可か知事許可かで評価が変わります。特定建設業許可・複数業種の許可を持つ会社は高く評価されます。許可の引き継ぎは株式譲渡の場合はそのまま承継できます。
②技術者・有資格者の数
一級建築士・一級施工管理技士・監理技術者などの有資格者が多いほど高評価です。建設業は有資格者の数が許可要件に直結するため、買い手にとって人材は最大の購入動機になります。
③元請け比率・主要顧客
下請けより元請けが多い会社は収益性が高く評価されます。特定の顧客に依存しすぎず、取引先が分散している会社も安定性が高いとみなされます。
④受注残(バックログ)
将来の売上が確定している受注残が多いほど、買い手にとって安心材料になります。売却のタイミングで受注残を積み上げておくと価格が上がりやすいです。
⑤財務状況・個人保証
借入額・個人保証の状況・純資産も評価に影響します。M&Aが成立すると個人保証が解除されるケースが多く、これが売却の大きな動機になる経営者も少なくありません。
⑥経営事項審査(経審)の点数
公共工事の入札に参加する建設会社・建築会社では、経営事項審査(経審)の点数が評価指標として重要です。過去の完成工事実績、財務内容、技術者の在籍状況などから算出される点数は、買い手側が公共工事市場へ参入する際の入札ランクに直結します。京都府内で官公庁工事・地方自治体工事の実績を持つ会社は、経審点数込みで評価されるため、売却相場に上乗せが入るケースがあります。
「赤字でも売れる」ケースがある
建設業では、たとえ赤字であっても売れるケースがあります。理由は「建設業許可」と「有資格者」の価値が高いからです。
新規に建設業許可を取得するには、経営業務管理責任者や専任技術者の要件を満たす必要があります。これに時間がかかるため、許可ごと引き継げるM&Aは買い手にとって大きな魅力です。「赤字だから売れない」と思い込む前に、一度相談してみてください。
建設会社のM&Aで想定される買い手
①同業の建設会社
エリア拡大・工種の補完・技術者確保を目的とした同業者の買収が最も多いパターンです。
②総合建設会社・ゼネコン
専門工事業者を傘下に取り込んで、ワンストップで施工できる体制を作りたいゼネコンが買い手になるケースです。
③不動産会社・デベロッパー
設計・施工を自社で行いたい不動産会社が、建設会社を取得するケースです。
④異業種からの参入企業
建設業許可と人材を目当てに参入する異業種企業です。
京都の建築会社・建設会社M&A・売却事情
京都府内の建築会社・建設会社のM&A市場は、エリアによって特性が大きく異なります。エリア別の売却相場・買い手動向を踏まえることで、ご自身の会社がどのような評価を受けるかが見えてきます。
京都市内・観光エリア(祇園・東山・中京区など)
京都市内中心部・観光地エリアは、町家改修・文化財建築の保全・宿泊施設改装などの特殊需要があります。これらの工事実績を持つ建築会社は希少性が高く、売却相場は全国平均より上振れしやすい傾向です。観光関連の改修工事を継続的に受注している会社は、インバウンド需要の回復を背景に買い手から高評価を受けます。
京都市南部・京都駅周辺・伏見区
京都駅周辺・南部エリアは、商業施設・オフィスビル・ホテルなどの新築・改修工事が多いエリアです。大手ゼネコン・元請との取引関係を持つ建設会社は、買い手から安定受注の基盤として評価されます。大型案件に対応できる有資格者の在籍体制も、売却相場を押し上げる要素です。
京都府郊外エリア(宇治・長岡京・亀岡・舞鶴など)
郊外エリアでは、住宅建築・地域インフラ整備・公共工事などが中心です。地域密着型で長年の取引先を持ち、地場の元請・自治体と良好な関係を築いている会社は、新規参入困難なポジションとして評価されます。公共工事入札参加資格を持つ会社の売却相場は、都市部とは異なる評価軸で算定されます。
売却の流れ(5ステップ)
- 相談・秘密保持契約:会社名は出しません。秘密厳守で進めます
- 企業価値の算定:利益・許認可・有資格者・受注残をもとに算定します
- 買い手候補の探索:同業・ゼネコン・不動産等を対象に探します
- 交渉・条件の調整:価格・雇用・技術者の処遇・引継ぎ期間を調整します
- 最終契約・クロージング:許認可の承継手続きも含めて対応します
売却価格を上げるために今からできること
- 有資格者(一級施工管理技士・一級建築士)の育成・確保
- 元請け比率を高める
- 決算書の整理(役員報酬の適正化・不要経費の見直し)
- 受注残を積み上げておく
- 個人保証の整理を事前に検討する
売却を決めてから動くより、1〜2年前から準備した方が確実に価格が上がります。まず相談だけでも構いません。
また、公共工事入札の経審更新時期、建設業許可の5年ごとの更新時期、有資格者の資格更新時期を年単位のカレンダーで整理しておくと、売却時期の選択肢が広がります。経審点数は過去3年程度の決算内容から算定されるため、売却を見据えた準備を始めるなら、数年前からの計画的な利益確保が有効です。書類の整備、許可・資格の維持、取引先との関係維持——これらは日々の業務のなかで続けられる地道な取り組みですが、売却相場に大きく反映されます。
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まずはご相談ください
京都でのM&Aの特徴:京都は古民家・町家の改修・耐震工事、観光施設・ホテルの建設工事など、地域特有の需要があります。文化財・寺社仏閣の施工実績を持つ建設会社は、京都ならではの価値として買い手から高く評価されます。
「売ると決めたわけではない」という段階でも構いません。
会社がいくらになるのか、廃業と売却どちらが得なのか——そういった入口でも、お話をお聞きします。
一人で抱えているより、一度ご相談いただく方が、気持ちが楽になることがあります。
ご相談を、代表の吾郷が直接お受けします。


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