建築工事業の売却価格の相場は?京都の経営者が知るべき小規模M&Aの価格の決め方

「自分の会社はいくらで売れるのか。」

建築工事業の経営者から、M&Aを検討する際に最初に出てくる質問です。売却価格の相場を知っておくことで、現実的な判断ができるようになります。

建築工事業の企業価値はどう決まるか

M&Aの売却価格は、主に以下の要素で決まります。

  • 利益(営業利益・EBITDA):最も重視される指標。年間利益の2〜5倍が一般的な目安
  • 建設業許可の種類・等級:特定建設業許可・大臣許可は評価が高い
  • 技術者・職人の人材:一級建築士・施工管理技士などの資格者数が価格に影響
  • 元請け比率:元請け比率が高いほど評価される
  • 受注残(バックログ):将来の売上見込みが確保されているほど高評価
  • 財務状況:借入額・個人保証の状況・純資産

小規模建築工事業の売却価格の目安

売上規模・利益水準によって異なりますが、年商1〜3億円規模の建築工事会社では、営業利益の2〜4倍程度が売却価格の目安になることが多いです。ただし、許認可・人材・元請け比率によって大きく上下します。

「赤字だから売れない」と思わないでください。建設業許可と技術者がいれば、赤字でも買い手がつくケースがあります。

建築会社の価格算定の考え方

小規模な建築会社のM&Aでは、売却価格は「時価純資産+のれん(営業利益の2〜3年分)」で算定されることがほとんどです。売上規模や営業利益の何倍という単純な式だけで決まるわけではなく、各社の財産状況と収益性、そして建設業特有の許認可・人材の状況で金額が大きく変わります。

時価純資産の考え方

貸借対照表の純資産を、時価ベースで評価し直した金額です。建築会社では以下の項目が重要になります。

  • 重機・建設機械の時価評価:減価償却が済んでいる重機でも、中古市場で値段がつくものは加算します
  • 工事未収入金・工事進行基準の残高:回収可能性を精査して時価評価します
  • 不動産の含み益:本社・資材置き場・倉庫などの土地建物に含み益があれば加算します
  • 退職給付引当金・未払残業代:簿外債務として控除されるケースがあります

のれん(年倍法)の考え方

事業を続けることで生まれる将来の収益価値です。直近の営業利益の2〜3倍を目安に算定することが多く、建築会社の場合は以下の要素で倍率が変動します。

  • 建設業許可(特に特定建設業許可・電気・管など専門性の高い業種)を保有していること
  • 一級建築士・一級施工管理技士などの有資格者が在籍していること
  • 元請けとしての実績・継続取引のある発注先があること
  • 若手職人が在籍し、人材不足の業界で継続可能性が高いこと

参考例

営業利益800万円・時価純資産2,500万円の建築会社の場合、株価の目安は「2,500万円 + 800万円 × 2〜3年 = 4,100万〜4,900万円」程度になります。ただし実際の価格は買い手との交渉で決まるため、あくまで目安として参考にしてください。建設業許可の種類・有資格者の人数・元請け比率によって、さらに上振れるケースもあります。

売却価格を上げるために今からできること

  • 決算書をきれいにする(役員報酬の適正化・不要な経費の整理)
  • 技術者・施工管理技士の資格者を確保しておく
  • 元請け比率を高める
  • 受注残を積み上げておく
  • 個人保証の整理を事前に検討する

売却を決めてから準備するより、1〜2年前から動き出した方が価格が高くなります。

京都でのM&Aの特徴:京都は古民家・町家の改修・耐震工事需要が多く、建築工事業の受注が安定しています。文化財・寺社仏閣の修繕工事実績がある会社は、京都ならではの希少な技術・実績として高く評価されます。

建築工事業のM&Aで売却できる条件

建築工事業はM&Aで売却しやすい業種のひとつです。理由は「建設業許可」という参入障壁があるからです。許可取得には実務経験のある技術者の確保や財務要件が必要で、新規参入には時間がかかります。そのため、既存の許可を持つ会社の取得価値は高くなります。

以下に当てはまる会社は、特に買い手が見つかりやすいです。

  • 建設業許可(一般・特定)を保有している
  • 一級建築士・一級施工管理技士などの有資格者が在籍している
  • 元請け工事の実績・受注ルートがある
  • 売上が安定している(大幅赤字でない)
  • 特定の取引先(ゼネコン・工務店・公共機関)との継続取引がある

買い手はどんな会社か

建築工事業のM&Aで買い手になりやすいのは以下のような会社です。

  • 同業の建設会社:エリア拡大・工種の補完・技術者確保を目的とした取得
  • 不動産会社・ディベロッパー:施工部門を内製化するための取得
  • 建設系ホールディングス:グループ傘下に加えて収益基盤を拡大
  • 異業種からの参入:建設業許可の取得を目的とした買収

特に京都では、町家・古民家リノベーションや寺社仏閣の修繕工事に特化した実績を持つ会社に、県外の建設会社や不動産会社が関心を示すケースがあります。

建築業界の動向と買い手需要

建築業界は全国的に職人不足・後継者不足が深刻化しています。新規の職人採用が困難な中、経営者の高齢化で引退を検討する建築会社が増えています。一方で、工事受注を伸ばしたい建設グループ・元請け大手・異業種からの参入企業は、既存の建築会社を買収して許認可・職人・取引先を一体で取得する動きを強めています。

特に特定建設業許可・電気工事業・管工事業などの専門性の高い許可を持つ会社、一級建築士・一級施工管理技士が在籍する会社は、買い手需要が高い状況が続いています。「人手不足で先が見えない」と感じている経営者ほど、買い手からは「取得したい資産」として評価される可能性があります。

M&Aの流れ(相談から成約まで)

  • 相談・秘密保持契約(1〜2週間):まず無料相談。希望条件や事業概要をお聞きします。
  • 企業概要書の作成(2〜4週間):許可種類・技術者数・受注状況・財務概要をまとめた資料を作成します。
  • 買い手候補との交渉(1〜3ヶ月):複数の候補と秘密裏に交渉し、条件の合う相手を絞り込みます。
  • 基本合意・調査(1〜2ヶ月):買い手側が事業の詳細を確認します。建設業許可・技術者・工事実績が主な確認項目です。
  • 最終契約・引き継ぎ(1〜2ヶ月):契約締結後、技術者・取引先・現場への告知と引き継ぎを行います。

よくある質問

Q. 建設業許可は引き継ぎ先に移せますか?
株式譲渡の場合は許可をそのまま引き継げます。事業譲渡の場合は新たな許可申請が必要です。どちらの方法が適切かは、早めに確認しておくことが重要です。

Q. 技術者が1人だけでも売れますか?
売れます。ただし、キーマンとなる技術者が引き継ぎ後も残るかどうかは、買い手が最も気にするポイントです。技術者の処遇を条件に含めて交渉します。

Q. 個人保証はどうなりますか?
M&A成立時に解除されるケースが多いです。工事請負の借入や設備資金の保証から解放されることで、引退後の生活設計が立てやすくなります。

売却のタイミングを逃さないために

建築工事業のM&Aで経営者がよく後悔するのは「もっと早く動けばよかった」という言葉です。売却価格は業績が良い時期に動き出した方が高くなります。受注残がある、技術者が揃っている、財務が安定している——この3つが揃っている今が、最も良い条件で引き継ぎ先を選べるタイミングです。

体力的な限界や後継者不在に気づいてから動き始めると、選べる買い手の幅が狭まります。「まだ早い」と思っている今こそ、一度話を聞きに来てください。

相談料は無料です。売ると決めていなくても構いません。まずは自社の価値と選択肢を知ることから始めましょう。

建築工事業のM&Aで守れるもの

建築工事業のM&Aで経営者が最も心配されるのは「現場の職人やスタッフの雇用」と「取引先・元請けとの関係」です。引き継ぎ先を選ぶ段階で、これらを絶対条件として交渉することができます。

個人保証(経営者保証)については、M&A成立時に解除されるケースが多いです。工事機械・車両の購入資金や事業資金の借入に個人保証を入れている経営者は多く、長年の保証から解放されることが売却を決断する大きな理由になります。

また、廃業と違いM&Aでは売却対価を受け取ることができます。長年築いてきた会社の価値が数字として評価される。それが経営者にとって、最後の大仕事の締めくくりになります。

京都の建築工事業・地域ごとの特徴

京都府内の建築工事業は、地域によって受注の特性が異なります。京都市内では町家・古民家の改修、寺社仏閣の修繕、文化財保護に関わる工事が多く、こうした実績を持つ会社は希少価値があります。一方、宇治・亀岡・福知山などのエリアでは、住宅・商業施設・公共工事が中心です。

どのエリアの会社であっても、地域に根付いた元請け・取引先との関係は買い手から高く評価されます。「地元の会社との長年のつながり」こそが、建築工事業のM&Aで最も重視される無形資産です。


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