窯元・陶芸業のM&Aでは、どんな相手が買い手になるのか。この記事では、具体的な買い手候補を整理します。
なお、廃業かM&Aかの選択についてはこちらの記事も参考にしてください。
窯元・陶芸業のM&Aで想定される買い手
①陶芸・工芸品の販売・流通企業
百貨店・ギャラリー・ECサイトで工芸品を販売する企業が、安定した仕入れ先・生産拠点として窯元を取得するケースです。OEM生産・ブランド商品の開発拠点としての買収が多いです。
②観光・体験型事業者
陶芸体験・インバウンド向け文化体験サービスを運営する事業者です。「本物の京都の窯元での陶芸体験」は希少性が高く、観光コンテンツとして価値があります。
③個人の陶芸家・若手職人
修業を積んだ陶芸家や若い職人が、自ら窯を構えるコストを抑えるために既存の窯元を引き継ぐケースです。技術・設備・屋号をまとめて承継できるため、独立の近道になります。
④伝統工芸に関心を持つ企業・投資家
ESGやブランディングの観点から伝統産業の保護・振興に取り組む企業、または日本の伝統工芸に投資したい個人投資家です。
⑤異業種企業(飲食・ホテル・不動産)
料亭・旅館・ホテルが、自社ブランドの器の生産拠点として窯元を取得するケースもあります。「自社の器はすべて自社窯元製」というブランド価値を持ちたい企業です。
買い手が値段をつける資産
窯元の売却で買い手が見る資産は、決算書に載っている設備よりも、載っていないもののほうが多くを占めます。
- 屋号と窯印。長年使ってきた屋号や器の裏に押す窯印は、百貨店や料亭が「その窯の器」として買っている理由そのものです。商標登録の有無で、引き継ぎ後に使えるかどうかが変わります。未登録なら、売却前に出願しておくのが確実です。
- 型と釉薬の配合記録。石膏型と釉薬のレシピが残っていれば、職人が代わっても同じ器が作れます。頭の中にしかない場合は、引き継ぎ期間にオーナーが残ることが条件になります。
- 窯そのもの。ガス窯や電気窯は設備として評価されますが、登り窯は都市部で新設がほぼ不可能なため、稼働できる状態なら設備価格以上の意味を持ちます。逆に使っていない登り窯は、維持費として見られます。
- 販路。百貨店の催事枠、料亭や旅館との継続取引、ギャラリーとの関係は、買い手が一から作れないものです。取引先の一覧と年間の取引額を出せると、価格の根拠になります。
個人事業の窯元が売る場合の形
京都の窯元、とくに清水焼や京焼の窯元は個人事業が多く、その場合は「事業譲渡」の形になります。屋号、設備、在庫、取引先との契約を一つずつ買い手に移します。法人にしている窯元なら株式譲渡で丸ごと渡せます。事業譲渡では、屋号を買い手が使い続けてよいかを契約書に書き、商標があれば移転登録をします。職人が残るかどうかも契約に入れます。京都市の東山や山科のように住宅地の中にある窯元は、窯の解体や搬出に制約があり、京都で廃業する場合の費用はこの点で高くなりがちです。
窯元は利益が薄いことが多く、決算書の数字だけで値段を決めると低く出ます。そのため、屋号と販路と職人の価値をどう金額にするかが交渉の中心になります。廃業と比べる場合、窯の解体と土地の原状回復にかかる費用を先に見積もっておくと、売却の手残りと並べて判断できます。廃業との比較は窯元・陶芸業の廃業とM&Aにまとめています。
買い手に評価される資産
- 登窯・電気窯・ガス窯などの設備
- 独自の釉薬配合・焼成技術
- 屋号・ブランド・受賞歴
- 作品の在庫・金型・道具
- 職人・弟子の人材
窯元の売却を具体的にお考えの方は、窯元・陶芸業を売却したい方へをご覧ください。
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「売ると決めたわけではない」という段階でも構いません。
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監修:中小企業診断士・事業承継士 吾郷 泰佑
京都府を中心に、小規模M&A・事業承継のご相談に1,000件以上向き合ってきました。完全成功報酬で、ご相談から成約まで代表が直接伴走します。
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