66歳。京都で個別指導塾を開いて28年になる。生徒は40人。夜10時まで授業をして、片付けて、帰るのは日付が変わる頃——この生活が、年々こたえるようになってきた。息子は会社勤めで、継ぐ気はない。それでも「先生、来年もお願いします」と言ってくれる保護者の顔を思うと、「閉める」とは言い出せない——。
その迷いのまま、ご相談いただいて大丈夫です。学習塾・個別指導塾は、生徒・講師・教室・地域の評判を一体で引き継げるため、閉じてすべてを失うより、事業として譲るほうが多くのものを残せる業種です。
ご相談は秘密厳守です。相談したことが講師や保護者、生徒に伝わることはありません。売ると決めていない段階のご相談が、実際にはいちばん多いです。
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うちのような小さな塾でも、売却の対象になるのか
「1教室だけ、生徒40人の個人塾。うちを買う人なんているのか」——最初のご相談で、多くの塾長がこうおっしゃいます。
結論から言うと、教室の数や生徒数の多さは決定的な問題ではありません。買い手が見ているのは、生徒の継続率、保護者との信頼関係、講師の体制、立地です。生徒30〜40人の個人塾でも、退塾が少なく、地域で「あそこは面倒見がいい」と言われている塾なら、引き継ぎたい相手は見つかります。むしろ大手にはない「塾長との距離の近さ」こそが、この規模の塾の価値です。
売却で守れるもの——お金だけの話ではありません
- 経営者個人の保証からの解放:教室の賃貸借契約や改装費・設備の借入に、塾長個人が保証を入れているケースがほとんどです。譲渡では、買い手側への保証の付け替え・解除を交渉するのが一般的。「保証を外して引退する」道が開けます。
- 生徒の学びの場:閉塾すれば、生徒は受験を控えたまま転塾先を探すことになります。譲渡なら、慣れた教室・顔なじみの講師のまま、学びが途切れません。
- 講師の雇用:経験のある講師・チューターは、人材確保に苦しむこの業界で買い手が最も欲しがる資産のひとつです。雇用は引き継がれるのが基本です。
- 売却対価:生徒基盤・講師・立地・地域の評判が評価され、引退後の資金として対価を受け取れます。
売却を考える典型的なきっかけ
夜の仕事と、自分の年齢
塾の仕事は夕方に始まり、夜に終わります。授業・保護者対応・教材準備——60歳を過ぎると、この生活リズムそのものが続けられない理由になってきます。体力があるうちに動くかどうかで、引き継ぎの選択肢は変わります。
少子化と、大手・映像授業との競争
子どもの数は減り、大手チェーンや映像授業・オンライン教材との競争は激しくなる一方です。それでも、地域で選ばれ続けている個人塾には「人が教える価値」が残っています。生徒数が減りきる前のほうが、評価は守れます。
講師が集まらない
学生講師の採用は年々難しくなり、塾長がすべてのコマを背負う状態になりがちです。講師体制が保てているうちに引き継ぐかどうかが、事業の評価の分かれ目です。
後継ぎがいない
親族にも講師にも継ぐ相手がいない——それは塾を閉める理由ではなく、第三者への譲渡を考え始めるサインです。
塾のM&Aで一番大事なこと——生徒・保護者への引き継ぎ設計
学習塾の売却には、他の業種のような許認可の引き継ぎ問題がほとんどありません。開業に資格や免許が要らない業種だからです。その代わり、すべてが「人」の設計にかかっています。塾のM&Aで最大のリスクは、譲渡の発表をきっかけに退塾が相次ぐこと。ここを制するのが、この業種の専門家の仕事です。
発表のタイミング:保護者への告知は、譲渡契約を結んだ後です。交渉の途中で噂が立つと、「あの塾は先生が辞めるらしい」という形で退塾が始まります。さらに塾の場合はもうひとつ、受験期を避けるという時間軸が加わります。受験生を抱えたまま体制変更を発表するのは最悪手で、入試が終わった春に引き継ぎを合わせるのが定石です。逆算すると、動き出しは前年の夏〜秋がひとつの目安になります。
講師の継続:生徒がついているのは、塾というより「あの先生」です。主力講師が譲渡後も残る形を条件交渉の柱に据えます。
塾長自身の引き継ぎ期間:個人塾では、塾長その人がブランドです。譲渡してすぐ姿を消すのではなく、半年〜1年ほど顧問や講師として残り、生徒・保護者を新体制へ橋渡しする形にすると、退塾は大きく減ります。「すぐ辞められる」のではなく「軟着陸できる」——これも譲渡の設計次第です。
売却価格の考え方
学習塾の売却価格は、時価純資産に、営業利益の数年分(のれん)を加えて算定するのが一般的で、生徒数と継続率・講師体制・立地で評価が変わります。具体的な算定方法と価格帯の目安は、学習塾・個別指導塾の売却価格の相場の記事で詳しく解説していますので、数字の感覚を掴みたい方はそちらをご覧ください。決算書と生徒数の推移を拝見できれば、おおよその価格帯をお伝えできます。
買い手はどこにいるか
- 学習塾チェーン・フランチャイズ本部:エリア拡大と生徒基盤の獲得を目的とした取得。最も件数が多い買い手です
- 個人の塾経営者・独立を目指す教育者:既存の生徒・教室ごと引き継いで開業する形。塾長の想いを直接受け取ってくれる相手でもあります
- 教育関連企業:オンライン教材・映像授業の会社が、対面指導の拠点として地域塾を求めるケースが増えています
- 異業種からの参入:教育事業への新規参入を目指す会社
京都の学習塾のM&A・事業承継
京都は教育熱の高いエリアで、難関大学・有名私立への進学実績を持つ塾、地域で長く信頼されてきた個人塾には、府内外から引き継ぎのニーズがあります。御所南・洛北など文教エリアの教室立地は、それ自体が評価対象です。京都で学習塾・個別指導塾の売却をお考えなら、塾の強み(指導スタイル・合格実績・保護者との関係)に合う買い手を一緒に探します。
なお、「閉塾した場合の費用と、譲った場合の手残り」を数字で比べたい方は、閉塾費用の内訳まで含めて比較した学習塾の廃業vs M&Aの記事をご覧ください。
売却の流れ
- ご相談・秘密保持:塾名・所在地は伏せたまま話を始めます
- 価値の算定:生徒数・継続率・講師体制・立地をもとに価格帯を見立てます
- 買い手候補の探索:匿名の概要で打診し、秘密保持契約を結んだ相手にだけ詳細を開示します
- 交渉・条件調整:価格だけでなく、講師の雇用・発表のタイミング・塾長の引き継ぎ期間まで詰めます
- 最終契約・引き継ぎ:受験期を避けたスケジュールで、段階的に進めます
よくある質問
Q. 生徒が30人まで減りました。それでも売れますか?
可能性はあります。生徒数そのものより、継続率と保護者の信頼、講師体制、立地が評価されるからです。減りきる前の今が、むしろ相談のタイミングです。
Q. 講師や保護者に知られずに進められますか?
進められます。譲渡契約まで水面下で進めるのが標準的な作法です。情報が漏れやすいルートと防ぎ方は、従業員に知られずに進める方法の記事で詳しく説明しています。
Q. 大手に買われたら、うちの指導方針は変わってしまいませんか?
買い手次第ですが、「変えないこと」を条件に交渉できます。地域塾を取得する買い手の多くは、その塾の指導スタイルと評判ごと欲しいのであって、看板の掛け替えが目的ではありません。「屋号を残す」「指導方針・教材を維持する」「講師体制を変えない」——守りたいものを最初に言葉にしていただければ、それを譲れない条件として買い手選びの基準に据えます。方針を変えたがる相手は、選ばなければいいだけです。
Q. 相談したら、売らないといけませんか?
いいえ。検討の結果「もう数年続ける」と決めた塾長もいます。まだ売ると決めていない段階の相談について書いた記事もありますので、迷ったままお越しください。
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まずはご相談ください
「売ると決めたわけではない」という段階でも構いません。 会社がいくらになるのか、廃業と売却どちらが得なのか——そういった入口でも、お話をお聞きします。 一人で抱えているより、一度ご相談いただく方が、気持ちが楽になることがあります。
ご相談を、代表の吾郷が直接お受けします。
監修:中小企業診断士・事業承継士 吾郷 泰佑
京都府を中心に、小規模M&A・事業承継のご相談に1,000件以上向き合ってきました。完全成功報酬で、ご相談から成約まで代表が直接伴走します。
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