67歳。工場ひとつと取次店ふたつ。京都でクリーニング店を40年続けてきた。先日、ボイラーの更新見積もりを見て手が止まった——300万円。あと何年やるか分からないのに、この投資はできない。娘は継がない。それでも毎週、決まった曜日に来てくださる常連さんの顔を思うと、「閉める」の一言が出てこない——。
その迷いのまま、ご相談いただいて大丈夫です。クリーニング店・クリーニング業は、固定客・設備・クリーニング師・立地を一体で引き継げるため、廃業してすべてを処分するより、事業として譲るほうが多くのものを残せる業種です。
ご相談は秘密厳守です。相談したことがスタッフや取次先、法人のお取引先に伝わることはありません。売ると決めていない段階のご相談が、実際にはいちばん多いです。
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うちのような小さな店でも、売却の対象になるのか
「工場も古いし、家族経営の小さな店。うちを買う人なんているのか」——最初のご相談で、多くの方がこうおっしゃいます。
結論から言うと、規模の小ささは決定的な問題ではありません。買い手が見ているのは店の大きさではなく、固定客の数と通ってくれる頻度、法人契約の有無、クリーニング師の在籍、立地です。取次店が中心の店でも、工場を持たない店でも、地域に根づいた顧客基盤があれば、引き継ぎたいという相手は見つかります。逆に、設備が新しくてもお客さんが離れてしまった店は評価が伸びません。クリーニング業の価値は、機械よりも「通い続けてくれる人」にあります。
売却で守れるもの——お金だけの話ではありません
- 経営者個人の保証・機械リースの保証からの解放:ドライ機・ボイラー・プレス機の導入時の借入やリース契約に、社長個人が保証を入れているケースがほとんどです。株式譲渡では、買い手側への保証の付け替え・解除を交渉するのが一般的。廃業して精算しきれなければ保証は個人に残りますが、譲渡なら「保証を外して引退する」道が開けます。
- 固定客との信頼:「あの店に任せておけば大丈夫」と40年通ってくれた常連さんの預かり品と信頼は、店が続く限り守られます。
- クリーニング師・スタッフの雇用:有資格者と経験あるスタッフは、人材難のこの業界で買い手にとって最も欲しい資産のひとつ。雇用はそのまま引き継がれるのが基本です。
- 売却対価:固定客・設備・立地・法人契約の価値が評価され、引退後の資金として対価を受け取れます。
売却を考える典型的なきっかけ
機械・ボイラーの更新費に踏み切れない
ドライ機、ボイラー、プレス機——クリーニング業の設備は更新のたびに数百万円単位の投資が要ります。「あと何年続けるか分からないのに」という感覚が芽生えたときが、実は動き出すサインです。体力のある買い手と組めば、設備投資の壁は店を閉める理由ではなくなります。
クリーニング師の高齢化・後継ぎ不在
クリーニング所にはクリーニング師の配置が必要です。自分が現場に立てなくなったとき、資格者の後継ぎがいなければ営業は続けられません。人が揃っているうちに動くかどうかで、店の評価は大きく変わります。
客数の減少と、それでも残る固定客
家庭で洗える衣類が増え、在宅勤務でワイシャツの需要も減りました。それでも、着物や礼服、コート、法人のリネン——「ここにしか頼めない」お客さんは残っています。全体の客数が減っていても、この核になる顧客基盤が買い手の評価対象です。
燃料・溶剤コストの高騰
重油やガス、溶剤の値上がりが利益を薄くし、「頑張っても残らない」状態が続く——収支が悪化しきる前のほうが、選べる条件は良くなります。
売却価格の相場——クリーニング店はこう評価される
小規模なクリーニング業のM&Aでは、売却価格は「時価純資産+のれん(営業利益の2〜3年分)」で算定するのが一般的です。店の規模だけでなく、次の4つの要素で金額が変わります。
- 固定客と法人契約:来店頻度の高い常連客、旅館・ホテル・病院・飲食店などとの法人契約は、引き継ぎ後すぐに収益を生む資産として最も高く評価されます
- クリーニング師の在籍:有資格者が譲渡後も働いてくれる見通しがあるか
- 設備の状態:ドライ機・ボイラー・プレス機の年式と稼働状況。溶剤の管理状況もここで見られます
- 立地と取次網:住宅街・スーパー内・駅近の取次店ネットワークは、新規参入では作れない資産です
参考例
営業利益250万円・時価純資産600万円のクリーニング店なら、株価の目安は「600万円 + 250万円 × 2〜3年 = 1,100万〜1,350万円」程度です。実際の価格は買い手との交渉で決まるためあくまで目安ですが、決算書3期分を拝見できれば、おおよその価格帯をお伝えできます。
クリーニング所の届出と「クリーニング師」はどうなるか
クリーニング業の譲渡で見落とされがちなのが、保健所への届出と資格者の扱いです。
株式譲渡の場合:クリーニング所を開設している法人ごと引き継ぐため、届出はそのまま生き、営業を止めずに引き継げます。小規模M&Aではこの形が中心です。
事業譲渡・個人事業の場合:開設者が変わるため、買い手側で保健所への新たな届出が必要になります。既存の設備・体制が整っていれば手続きは進めやすいものの、段取りを誤ると営業の空白が生まれるため、引き継ぎのスケジュール設計が重要です。
そしてどちらの場合も、クリーニング所ごとに必要なクリーニング師の確保が評価の核心です。譲渡と同時に資格者が離れると営業要件そのものが揺らぐため、交渉は秘密保持のもとで進め、スタッフへの説明は買い手と足並みを揃えて丁寧に設計します。
京都のクリーニング店のM&A・事業承継
京都には旅館・ホテル・料亭が多く、リネンや制服の法人クリーニング需要が安定しています。さらに、着物・帯・呉服といった高級衣類を扱える技術は京都特有の強みで、この分野の実績を持つクリーニング店・クリーニング業者は、府内の買い手から特に高く評価されます。
買い手候補としては、エリア拡大を進めるクリーニングチェーン、取次網ごと顧客基盤を求める同業の経営者、独立を目指すベテランスタッフ、リネンサプライへ広げたい異業種などが見込めます。京都でクリーニング店の売却・事業承継をお考えなら、お店の強み(固定客・法人契約・特殊クリーニングの技術)に合う相手を一緒に探します。
なお、「閉めた場合の費用と、譲った場合の手残り」を数字で比べたい方は、機械の撤去や溶剤の処分費まで含めて比較したクリーニング店の廃業vs M&Aの記事をご覧ください。
売却の流れ
- ご相談・秘密保持:店舗名・所在地は伏せたまま話を始めます
- 価値の算定:固定客・法人契約・設備・財務をもとに価格帯を見立てます
- 買い手候補の探索:匿名の概要で打診し、秘密保持契約を結んだ相手にだけ詳細を開示します
- 交渉・条件調整:価格だけでなく、スタッフの雇用・固定客への引き継ぎ方まで詰めます
- 最終契約・引き継ぎ:届出・預かり品・法人契約の移行まで、段階的に進めます
よくある質問
Q. 機械が古く、赤字の年もあります。それでも売れますか?
可能性はあります。設備の評価は下がっても、固定客・法人契約・立地・クリーニング師の在籍に価値を見出す買い手はいるからです。設備の古さを理由に諦める前に、一度数字を見せてください。
Q. スタッフや取次先に知られずに進められますか?
進められます。譲渡契約まで水面下で進めるのが標準的な作法です。詳しくは従業員に知られずに進める方法の記事で、情報が漏れやすいルートと防ぎ方まで説明しています。
Q. 相談したら、売らないといけませんか?
いいえ。検討の結果「もう少し続ける」と決めた方も大勢います。まだ売ると決めていない段階の相談について書いた記事もありますので、迷ったままお越しください。
あわせて読まれています
まずはご相談ください
「売ると決めたわけではない」という段階でも構いません。
会社がいくらになるのか、廃業と売却どちらが得なのか——そういった入口でも、お話をお聞きします。
一人で抱えているより、一度ご相談いただく方が、気持ちが楽になることがあります。
ご相談を、代表の吾郷が直接お受けします。
監修:中小企業診断士・事業承継士 吾郷 泰佑
京都府を中心に、小規模M&A・事業承継のご相談に1,000件以上向き合ってきました。完全成功報酬で、ご相談から成約まで代表が直接伴走します。
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