居宅介護支援事業所の廃業vs M&A|閉所費用と売却のどちらが得か【京都】

居宅介護支援事業所を長年運営してきた。ケアマネとして担当利用者さんのプランを作り、地域のサービス事業者・医療機関と連携してきた。でも、主任ケアマネの配置義務、ケアマネの採用難、報酬改定——経営は年々厳しくなっている。後継者もいない——そんな京都の居宅介護支援事業所の管理者に読んでいただきたい記事です。廃業の費用自体は他業種より抑えめですが、失うものは決して小さくありません。主任ケアマネ・担当利用者・多機関ネットワークは、買い手から見て価値ある資産です。廃業を決める前に、一度だけ比較してみてください。


廃業とM&A、何が違うか

廃業M&A
担当利用者・ご家族への影響新しい事業所へのケアプラン移管が必要ケアマネ・プラン継続
売却対価なしあり(指定・担当者・ネットワークとして評価)
ケアマネ・主任ケアマネの雇用全員解雇継続雇用が前提
事務所処分費用30万〜100万円が必要不要(資産として評価される)
居宅介護支援事業所指定廃止届を提出買い手に承継または再指定

居宅介護支援事業所の廃業にかかる費用の目安

  • 事務所の原状回復:賃貸物件の場合、床・壁・什器撤去で10万〜40万円
  • OA機器・什器の処分:PC・プリンタ・書庫・机椅子等で5万〜20万円
  • 利用者カルテ・給付管理関連書類の保管対応:法定保管義務に基づく引き継ぎ・保管
  • 居宅介護支援事業所廃止届・自治体対応:書類作成・指定返上で数万円
  • 顧問税理士・行政書士への報酬:清算手続きで15万〜40万円
  • 従業員(主任ケアマネ・ケアマネ・事務)への退職金:規模・在籍年数により数百万円以上

合計の目安: 30万〜100万円

金額自体は他業種より抑えめですが、担当利用者さんのケアプラン移管、関係サービス事業者・医療機関への連絡、書類の保管義務対応など、事務負担は決して小さくありません。利用者さんにとって担当ケアマネの変更は、生活支援の連続性に直結する重要な問題です。


居宅介護支援事業所がM&Aで評価される理由

主任ケアマネジャーの配置という参入障壁

居宅介護支援事業所の運営には、2024年4月以降、管理者要件として主任介護支援専門員(主任ケアマネ)の配置が完全義務化されました。主任ケアマネは5年以上の実務経験と所定の研修修了が必要で、短期間に育成できる人材ではありません。既存事業所の承継なら、主任ケアマネ配置体制ごと引き継げるため、買い手は承継初日から運営基準を満たせる大きな価値を得ます。

担当利用者とケアプラン作成履歴

ケアマネは、長年担当してきた利用者さん・ご家族との信頼関係で成り立つ仕事です。アセスメント、ケアプラン、モニタリング、担当者会議——蓄積された情報と関係性は、新規事業所では得られない無形資産です。承継後も担当ケアマネが継続することで、利用者さんの生活支援は途切れず、買い手にとって安定した給付管理収入が確保されます。

独立性・中立性という運営基盤

居宅介護支援事業所は、他事業所からの中立性が運営の根幹です。サービス事業者からの紹介料受領の禁止、公正なケアプラン作成、利用者本位の姿勢——長年築いてきた「地域から信頼される独立事業所」のポジションは、新規参入者が一朝一夕に獲得できるものではありません。この中立性ブランドは、買い手にとっても引き継ぐべき事業の核となる価値です。

多機関ネットワーク

ケアマネは、地域包括支援センター・サービス事業者・医療機関・地域の行政窓口との連携のハブです。この多機関ネットワークは、担当利用者さんへのサービス調整、サービス担当者会議の運営、退院支援の連携など、事業所運営の核となる資産です。承継後もこのネットワークを引き継げれば、事業継続の実効性が大きく高まります。


M&Aで想定される買い手

  • 介護事業者(居宅介護支援部門の拡充・独立性確保を進める事業者)
  • 医療法人(在宅医療と介護連携の基盤として居宅介護支援を取り込みたい法人)
  • 社会福祉法人(事業領域の拡大を目指す法人)
  • 居宅介護支援事業所運営チェーン(複数拠点展開を進める事業者)
  • 独立開業を目指す主任ケアマネ(勤務ケアマネからの独立希望者)

京都の居宅介護支援事業所M&Aの動向

京都府は高齢者人口の増加と要介護認定率の上昇を背景に、居宅介護支援の需要が安定的にあります。京都市内・宇治市・亀岡市など各エリアに居宅介護支援事業所が分布し、地域包括ケアシステムの実践拠点として機能しています。一方、主任ケアマネ配置義務化、ケアマネ試験合格者の減少、報酬改定による経営圧迫などから、経営継続が難しい事業所も増えています。京都府内では、介護事業者による居宅部門の拡充、医療法人による在宅連携基盤の取得、主任ケアマネによる独立承継など、多様なM&A案件が発生しています。独立性と地域ネットワークを持つ事業所は、規模にかかわらず引き合いが強い傾向にあります。


いつ動けばいいか

居宅介護支援事業所のM&Aは、主任ケアマネ・ケアマネが安定配置されているうち、担当利用者さんが維持されているうちに動くのが理想です。「主任ケアマネが退職する」「担当件数が減少してきた」——この段階に入ると評価は下がり、指定維持すら難しくなる恐れがあります。管理者の体力的限界が近づいたタイミング、主任ケアマネ配置体制の再構築を迫られる前、後継者不在が明確になったタイミング。このいずれかが訪れたら、一度相談してみてください。相談は無料で、売ると決めていなくても構いません。


廃業を選ぶ前に検討してほしいこと

居宅介護支援事業所の廃業は、事務所原状回復で30万〜100万円と、費用は他業種より抑えめです。しかし、担当利用者さんへのケアプラン移管、関係サービス事業者・医療機関への連絡、サービス担当者会議の引継ぎ、カルテ・給付管理関連書類の保管義務、ケアマネの再就職支援——事務・心理両面の負担は小さくありません。特に利用者さんにとって担当ケアマネの変更は、生活全体の支援計画に直結する重要な問題です。一方、M&Aであれば、担当利用者さんはケアマネが継続し、ケアマネの雇用は守られ、地域ネットワークも維持されます。ご自身は売却対価を引退後の資金に充てられます。廃業とM&A、両方のシナリオを並べて比較する価値は十分にあります。


よくある質問

Q. 常勤ケアマネ2名の小規模事業所です。それでも買い手は見つかりますか?
A. 見つかるケースは多くあります。居宅介護支援事業所は小規模から中規模が多く、規模より「主任ケアマネ配置・担当利用者数・独立性・地域ネットワーク」が評価されます。介護事業者や医療法人は独立性のある居宅部門の取得を積極的に検討しており、小規模が候補から外れる理由にはなりません。

Q. 主任ケアマネは私一人で、引退すると配置義務を満たせません。どうなりますか?
A. 重要なポイントです。承継後は買い手側で主任ケアマネを配置する必要があります。ご自身が引き継ぎ期間として1〜2年残っていただくスキーム、買い手側で主任ケアマネを先に配属してから承継するスキームなど、柔軟に対応できます。主任ケアマネ配置の継続性は承継プロセスの中で必ず確保されます。

Q. 担当利用者さんやサービス事業者に知られずに進められますか?
A. 進められます。基本合意までは秘密保持契約のもとで水面下で進行し、告知は最終契約の直前が一般的です。利用者さんが安心してサービスを受け続けられるよう、担当ケアマネの継続性、他事業者との中立的な関係維持を条件に交渉します。


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