2027年の法改正で、登録支援機関はどうなる|続けるか、手放すかで分かれ始めています【京都】

2027年4月1日、特定技能の登録支援機関に求められる支援体制の要件が変わります。今の登録がその日に消えるわけではありません。ただし、次の更新で新しい要件を満たせなければ、更新は受けられません。

京都府内の登録支援機関は161。そのうち80が株式会社です。代表が支援責任者を兼ね、担当者1人で回している機関と、支援担当者を何人も抱えて府外の受入企業まで見ている機関が、同じ登録簿に並んでいます。2027年の改正は、この二つに反対向きの力をかけます。片方は続けにくくなり、もう片方は受入企業を引き受ける側に回ります。

新しい要件が効くのは2027年4月1日です。ただし、更新の申請は満了日の6か月前から受け付けが始まるため、2027年3月末が区切りになる機関があります。「3月まで」と聞こえてくるのは、この仕組みによります。

続けるか、手放すか。この記事では、自分の機関がどちら側にいるかを制度の側から確かめられるように整理します。

先に言葉の整理をしておきます。登録支援機関の登録は、法人または個人に付いています。株式会社なら、株式を譲れば法人はそのまま続くので、登録も残ります。支援の事業だけを切り出して譲る事業譲渡では、登録は移りません。個人で登録している場合は、譲る方法がありません。この記事の「手放す」は、株式ごと引き継ぐ形、一般に言う会社の売却を指しています。

2027年4月1日に、何が変わるのか

出入国在留管理庁は、1号特定技能外国人への支援体制に関する要件を2027年4月1日から改めます。入管法施行規則と、支援計画の基準を定める省令の2本を改正するものです。要点は五つです。

  • 支援責任者と支援担当者を、支援業務を行う事務所ごとに、常勤の役員または職員から1名ずつ以上選ぶこと。支援責任者が支援担当者を兼ねることはできます。
  • 支援業務に従事できる人を、支援責任者と支援担当者に限ること。
  • 支援責任者に、入管法や労働関係法令の養成講習の受講を義務づけること。
  • 登録支援機関が委託を受けられる受入機関の数を、支援責任者等1人あたり10機関未満とすること。
  • 支援できる1号特定技能外国人の数を、支援責任者等1人あたり50人未満とすること。

今の要件と比べると、違いがはっきりします。現行の登録拒否事由では、支援責任者と支援担当者が選任されていればよく、常勤であることも、事務所ごとに置くことも求められていません。受入機関の数や外国人の数の上限もありません。過去5年に2年以上の生活相談業務の経験、という要件は今もあります。新しいのは、常勤、事務所ごと、講習、そして人数の上限です。

もう一つ、法律の側の変更があります。育成就労制度を作った2024年の改正入管法で、受入機関が支援を外部に委託する場合の委託先は登録支援機関に限られることになりました。これも2027年4月1日からです。登録を持たない相手に支援を任せる形は、この日で終わります。

「3月」と聞こえてくる理由

経過措置は、出入国在留管理庁の案内に三つ書かれています。

  • 施行日より前に登録を申請した場合は、施行前の要件で登録の可否が判断されます。ただし、その後の更新では新しい要件を満たす必要があります。
  • すでに登録を受けている機関で、登録の期間が2027年7月31日までに満了する場合は、施行日より前に更新を申請したときに限り、施行前の要件で更新を受けられます。
  • 支援責任者の講習は、2027年4月1日以降も当分の間は修了していなくて差し支えありません。

ここに更新の申請時期が重なります。登録の有効期間は5年で、更新の申請は満了日の6か月前の月の初日から4か月前の月の月末までに行います。たとえば満了日が2027年7月31日なら、申請できるのは2027年1月1日から3月31日までです。この組に入る機関にとって、2027年3月31日は「今の体制のまま更新できる最後の日」になります。

登録簿を登録年で見ると、2022年に登録した機関は全国に1,061あり、満了は2027年に来ます。満了が7月31日までの515機関は施行前に申請すれば今の要件で更新でき、8月以降の546機関は新しい要件で更新します。同じ年に登録していても、月の違いで扱いが分かれます。京都府内では2022年登録が13機関で、7と6に分かれます。

続けられる機関と、続けにくい機関が分かれる

二極化は、業界の空気ではなく、要件の組み合わせから起きます。四つの力を順に見ます。

一つ目は常勤要件です。本業の傍らで支援業務を引き受けてきた機関、代表が非常勤で支援責任者を名乗っていた機関は、事務所ごとに常勤の人を置かなければ更新できません。人を一人雇うか、やめるかの判断になります。

二つ目は人数の上限です。支援責任者等1人で受入機関30社を見ていた機関は、10機関未満の枠に収めるために少なくとも4人が要ります。逆に言えば、常勤の支援担当者を何人も抱える機関は、この上限を余裕をもって満たします。

三つ目は委託先の限定です。2027年4月1日以降、受入機関が支援を外に頼める相手は登録支援機関だけになります。登録を手放した機関の受入企業は、自社で支援体制を作るか、別の登録支援機関を探します。人が一人辞めても要件が崩れない機関の方が受入企業には安心で、需要は残る側に寄ります。

四つ目は、新規登録の重さです。新しく登録を受けるには過去2年の受入れ実績や相談業務の経験が要り、2027年4月1日以降は常勤体制も最初から求められます。ゼロから登録を取るより、人と受入企業と届出の記録を持つ既存の法人を株式ごと引き継ぐ方が早い。外国人材の事業を新しく始める会社や、他の地域へ広げたい機関がそう考える理由です。

数字も合っています。出入国在留管理庁の資料では、2023年4月末時点の登録支援機関8,137のうち、受入機関と支援委託契約を結んでいたのは4,069、半数でした。登録簿は2026年9月時点で11,579に増えていますが、登録番号には2,255の欠番があり、抹消や取消しで消えた分と見られます。登録はあるが支援はしていない機関の多くが、2027年以降の更新で判断を迫られます。

やめる側が直面すること

更新をしない、あるいは廃止する。その判断をした機関に、制度上の手続きが三つ並びます。

まず届出です。支援業務を休止または廃止した場合は、その日から14日以内に届け出ます。休止なら、有効期間内であれば再開の届出で戻れます。廃止すれば登録は効力を失い、再び行うには新規登録です。

次に、支援中の特定技能外国人です。支援計画を実施する義務は受入機関にあります。委託先がなくなれば、受入機関は自社で支援体制を整えるか、別の登録支援機関と契約し直します。受入機関には、支援委託契約の終了と新たな締結を14日以内に届け出る義務があり、支援計画の変更も伴います。翌月からやめる、という進め方は、受入企業の側に届出と手配の穴を作ります。

そして、支援担当者の雇用です。登録をやめれば、支援業務のために雇っていた人の仕事がなくなります。外国語ができ、受入企業と外国人の双方から信頼を得ている担当者は、別の機関から見れば探して見つかる人ではありません。

整理すると、やめる側が守りたいものは二つです。受入企業との関係と、支援担当者の雇用。登録を廃止すれば両方が切れますが、法人ごと引き継げば両方が残ります。外国人にとっても、担当者の顔が変わらないまま支援が続きます。この記事の「手放す」が株式ごと引き継ぐ形を指しているのは、この理由です。

引き継ぐ側が確かめること

受入企業を増やしたい登録支援機関や、外国人材の事業を新しく始める会社が既存の機関を株式ごと引き継ぐ場合、確認する項目は一般の会社の買収と重なりつつ、登録支援機関に固有のものがあります。

  • 登録の有効期限。満了が2027年7月31日までなら、施行前に更新を申請したかどうかで次の5年の要件が変わります。
  • 人の体制を2027年の基準で数えること。常勤の支援責任者等が何人残り、受入機関と外国人の数が1人あたり10機関未満・50人未満に収まるか。事務所が複数なら、事務所ごとに常勤1名以上が要ります。他地域の機関を引き継いで支店にする場合も同じです。
  • 受入機関との支援委託契約。法人と結ばれているので株式譲渡では続きますが、代表者の変更を解除事由にしている契約がないかを読みます。
  • 届出と記録。四半期ごとの定期届出、支援の実施状況の文書、支援費用を外国人に負担させていないこと、実地調査や指導の有無。
  • 新しい役員の欠格事由。代表者や役員の変更は14日以内に届け出ます。新しい役員が登録拒否事由に当たれば、登録そのものに響きます。

グループの中に技能実習の監理団体(協同組合)も持っている場合は、そちらの扱いが登録支援機関とは別物です。監理団体の許可は育成就労の監理支援機関には引き継がれず、新規の申請になります。監理団体の側の整理は別の記事にまとめています。

会社を引き継ぐ側の一般的な確認事項と、確認を外に頼む方法は、買い手のためのセカンドオピニオンで扱っています。

引き継ぎの流れ

株式会社の登録支援機関を法人ごと引き継ぐ流れです。株式譲渡なので骨格は一般の会社と同じで、違うのは途中に出入国在留管理庁への届出が挟まる点です。

1. 登録の状態を揃える

登録通知書、有効期限、直近の定期届出の控え、支援委託契約の一覧、支援責任者と支援担当者の名簿と雇用形態を揃えます。ここで満了日と更新申請の時期が分かります。

2. 2027年の基準で体制を数える

常勤の支援責任者等、事務所、受入機関、外国人の数を並べ、1人あたりの枠に収まるかを見ます。収まらなければ、引き継いだあとに何人雇うかが価格と条件の前提になります。

3. 受入機関との契約と、担当者の意向を確かめる

支援委託契約の解除条項と、支援担当者が引き継ぎ後も残る意向があるかを確かめます。担当者が残らなければ、受入機関との関係も残りません。

4. 株式譲渡で法人ごと引き継ぐ

株式譲渡契約を結び、代表者と役員を交代します。登録は法人に付いたまま動きません。対価は時価純資産と収益力から考えますが、登録支援機関の場合は、常勤の担当者が何人、受入機関が何社残るかが収益力そのものです。

5. 変更の届出と、必要なら更新の申請

代表者、役員、本店所在地などの変更は14日以内に届け出ます。満了日が近ければ、更新の申請を誰の名義で、施行前と施行後のどちらの要件で出すかを先に決めておきます。

2027年3月31日を過ぎてから引き継ぎ先を探し始めると、更新は新しい要件で受けることになり、常勤の人を先に確保していない機関は選ばれにくくなります。続けるにしても手放すにしても、2027年の基準で自分の機関を数えるところから始まります。

京都で登録支援機関を営まれている方へ

つなぐパートナーズは、京都の中小企業の事業承継・M&Aを専門にしています。代表の吾郷が、1,000件以上のご相談をお受けしてきました。

京都府内の登録支援機関161のうち80が株式会社です。代表お一人と担当者お一人という規模でも、お話を伺います。続けるための人の手当てと、売却する場合の引き継ぎ先の有無を、同じ席で整理します。

ご相談は無料です。売り込みは一切いたしません。秘密は必ずお守りします。受入企業や担当者に伝わることはありません。


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監修:中小企業診断士・事業承継士 吾郷 泰佑
京都府を中心に、小規模M&A・事業承継のご相談に1,000件以上向き合ってきました。完全成功報酬で、ご相談から成約まで代表が直接伴走します。
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