
京都府内で長年、地域密着の経営を続けてこられた質屋やブランド買取販売店のオーナー様にとって、後継者不在による出口戦略は、在庫(動産)の評価と鑑定技術という無形資産の承継が鍵を握ります。多くの経営者が「在庫を業者オークションで処分して廃業すればいい」と考えがちですが、それは長年築き上げた店舗の信用や顧客リストという営業権を自ら放棄していることと同義です。
現在のブランドリユース市場は、インバウンド需要や円安の影響で空前の活況を呈しており、大手チェーンや新規参入企業は、京都というブランド力の高いエリアでの仕入れ拠点を常に探しています。本記事では、小規模店舗がM&Aにおいて正当な評価を受け、譲渡対価を最大化するための実務ロジックを解説します。
この業界のM&A査定において、最も合理的かつ標準的に用いられるのが「年倍法(時価純資産+営業権)」です。しかし、算出の過程には他業種にはない特有の精査プロセスが存在します。
(時価換算在庫 + 現預金 + 敷金等 - 負債) + 営業権(修正EBITDA × 1〜3年)
決算書上の「商品在庫」は仕入原価で計上されていますが、査定においては現時点での換金価値に引き直します。この作業を怠ると、譲渡価格が数百万円から数千万円単位で過小評価されるリスクがあります。
ロレックスやパテックフィリップ等の高級時計、および金・プラチナといった貴金属は、二次流通相場の変動により帳簿価格を大きく上回る含み益が存在することが一般的です直近のオークション相場や専門業者の卸価格に基づき、これらを時価純資産に足し戻します。
一方で、流行の影響を受けるアパレルや、1年以上動いていないデッドストックについては、買い手のリスクを考慮し、一定の評価減を適用します。具体的には、滞留期間に応じて原価の50%〜80%程度に割り引いて算出することで、買い手との合意形成をスムーズにします。
万が一コピー品が混入していた際のリスクを考慮し、特に高額品が多い場合は、過去の鑑定体制を確認した上で、譲渡価格から一定のリスク引当金を控除、あるいは表明保証条項でカバーする調整を行います。
営業権の算出根拠となる利益(EBITDA)は、決算書の営業利益をそのまま使いません。オーナー経営特有の事情を排除し、事業そのものの稼ぐ力を可視化します。
営業権の倍率(年数)は通常1〜3年ですが、京都の店舗には以下のような「倍率を高める要素」が存在します。
M&Aのスキームによって、許可の扱いは厳格に異なります。これを誤ると譲渡後に営業停止のリスクが生じます。
法人の株主が変わるだけなので、会社が保持する古物商許可は有効に存続します。ただし、役員が交代する場合は、管轄の警察署(京都府警等)への変更届出が必要です。欠格事由に該当する役員がいないかの事前確認が必須です。
許可そのものを引き継ぐことはできません。買い手側が新たに許可を取得するか、既存の許可に営業所を追加する手続きが必要です。特に質屋営業許可は、場所(保管庫の基準)と人の両面で厳格な審査があるため、譲渡実行の数ヶ月前から警察署との事前協議を進める必要があります。
【算出例】
譲渡想定価格:5,000万円
廃業して在庫を業者オークションで処分する場合、オークション手数料や換金時の目減り、さらには店舗の原状回復費用が発生し、手残りは時価純資産を大きく下回る可能性があります。M&Aによる事業譲渡は、これまでの運営実績を「営業権」として現金化できる唯一の手法です。
在庫の時価評価から修正利益の算出まで、貴社の「本当の価値」をロジカルに数値化します。この業界の価値は決算書の数字だけでは測れません。
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