整骨院・接骨院の廃業vs M&A|閉院費用と売却のどちらが得か【京都】

長年、地域の患者さんに支えられながら、整骨院・接骨院を続けてきた。患者さんとの信頼関係も積み重ねてきた。

それでも、自分の年齢や柔道整復師の採用難、保険の動向を考えると、続けていく気力が少しずつ萎えてきた。後継者もいない。

そんな京都の整骨院・接骨院の経営者に、読んでいただきたい記事です。

廃業の費用自体は、それほど大きくありません。ただ、失うものは多いものです。長年の患者基盤と、保険で施術できる院の体制。これらは、M&Aなら買い手に引き継いでもらえます。

廃業を決める前に、一度だけ比較してみてください。


廃業とM&Aでは、何が違うのか

廃業M&A
患者さんへの影響別の整骨院探しが必要そのまま通い続けられる
売却対価なしあり(柔整師・患者基盤・立地として評価)
柔道整復師の雇用全員解雇継続雇用が前提
機器・内装の処分費用50万〜150万円不要(資産として評価)
受領委任・保険者契約廃止届を提出買い手に承継または再契約

整骨院・接骨院の廃業にかかる費用はどれくらい?

整骨院・接骨院を廃業する際の、主な費用の目安は次のとおりです。

  • 治療機器の撤去・廃棄:電気治療器、ウォーターベッド、ベッドなどで30万〜80万円
  • テナントの原状回復:給排水・空調の復旧で20万〜50万円
  • 受領委任の廃止手続き:地方厚生局・保険者への届出で数万円
  • 患者さんへの対応:カルテ・施術記録の保管義務、転院の案内
  • 顧問税理士・行政書士への報酬:清算手続きで20万〜50万円
  • 従業員(柔整師・受付)への退職金:規模や在籍年数により数百万円以上

合計の目安:50万〜150万円

また、カルテ・施術記録には法定の保管義務があり、廃業後も所定の期間は保管しなければなりません。

患者さんへの転院の案内や、保険請求の未払い分の整理など、院を閉めた後の事務負担は、金額以上に重くなる傾向があります。


整骨院・接骨院がM&Aで評価される理由

1. 柔道整復師の資格と施術所の開設

柔道整復師の免許は本人のもので、引き継ぐことはできません。

施術所は、開設した人が開設後10日以内に届け出るものです。開設者が代わるときは、新しい開設者が開設届を、前の開設者が廃止届を出します(柔道整復師法第19条)。

それでも、場所と設備と患者さんがそろった院を引き継げることは、若手の柔整師が独立する近道になります。

2. 受領委任の体制

受領委任は、患者さんが窓口で一部負担金だけを払い、残りを院が保険者に請求する仕組みです。

受領委任の取扱いは施術管理者ごとに申し出るもので、名義を書き換えて引き継ぐことはできません。開設者や施術管理者が代わるときは、新しい人が申し出をし直します。

施術管理者になるには、実務経験と研修の修了が要ります。引き継ぐ日に合わせて、この申し出の段取りを先に組んでおきます。

3. 長年通う患者さんとの信頼関係

整骨院は、「先生との相性」で通い続ける患者さんが多く、通院頻度も高い業態です。

長年通ってくださる患者さんとの信頼関係は、新規開業では築けない無形資産です。「院長が変わっても同じ院に通いたい」という継続利用率の高さが、買い手にとって承継後の安定収益を保証します。

4. 若手柔整師の独立ニーズ

柔道整復師の資格取得者は多いものの、独立開業には物件探し、機器の購入、患者集めなど、多くのハードルがあります。

既存院の承継は、「すぐに患者さんのいる院で独立できる」最短の選択肢として、若手柔整師から継続的に求められています。整骨院グループの拠点拡大のニーズも加わり、買い手候補は幅広く存在します。


整骨院・接骨院のM&Aでは、どのような買い手が考えられる?

  • 若手の柔道整復師:勤務柔整師から独立開業を目指す先生
  • 整骨院・接骨院チェーン:拠点拡大を進める事業者
  • 鍼灸・整体・リラクゼーション関連グループ:関連業態への事業拡大を進める企業
  • 医療・介護関連法人:リハビリや訪問事業との連携を目指す法人

京都の整骨院・接骨院M&Aの動向

京都府内の整骨院・接骨院は、市内中心部・郊外ともに一定の密度で分布しています。

一方で、保険請求の厳格化や柔整師の独立志向の変化により、個人院の経営環境は厳しさを増しています。

京都でも、個人院を承継したい若手柔整師、チェーン展開を進める整骨院グループ、関連業態(鍼灸・整体・訪問施術)からの参入など、多様な買い手が見られます。立地と患者基盤が整った院には、規模に関わらず承継の引き合いが続いています。


M&Aを考えるなら、いつ動くのがよい?

整骨院のM&Aは、患者基盤が維持されているうち、柔整師のスタッフが在籍しているうちに動くのが理想です。

「患者数が減ってきた」「スタッフが退職した」「保険請求を縮小せざるを得なくなった」。この段階に入ってからでは、評価は下がります。

次のいずれかのタイミングが訪れたら、一度相談してみてください。

  • 引退の3〜5年前
  • 体力的に厳しくなり始めたとき
  • 次の機器更新の投資を控えたとき

相談は無料で、売ると決めていなくても構いません。


廃業を決める前に、M&Aとの違いを比べてみる

整骨院の廃業では、機器の処分や原状回復で50万〜150万円の費用が発生します。

金額自体は抑えめですが、長年通ってくださった患者さんへの転院の案内、カルテの保管管理、保険請求の整理、長年勤めてくれた柔整師の再就職支援など、事務面でも心理面でも負担は小さくありません。

一方、M&Aであれば、患者さんは通い続けられ、柔整師の雇用は守られ、ご自身は売却対価を引退後の生活資金に充てられます。

廃業とM&A、両方のシナリオを並べて比較する価値は十分にあります。


よくある質問

Q. 小規模な個人整骨院で、柔整師は私一人です。それでも買い手は見つかりますか?

A. 見つかるケースは多くあります。

若手柔整師の独立ニーズは強く、一人院長の整骨院でも「患者さんごと承継したい」という候補は多数います。この業態では、規模よりも、立地と患者基盤の安定性が重視されます。

Q. 患者さんのカルテは承継できますか? 個人情報の扱いが心配です。

A. 適切な手続きと個人情報保護の対応を踏めば、承継できます。

患者さんへの事前通知や同意取得の枠組みを、M&Aのプロセスの一部として専門家と一緒に整えていきます。カルテは事業継続の重要な資産であり、承継の中核となる要素の一つです。

Q. 受領委任の契約は、そのまま引き継げますか?

A. そのままは引き継げません。

新しい開設者が施術所の開設届を出し、施術管理者が代わる場合は、新しい施術管理者が受領委任の申し出をし直します。近畿厚生局への届出を含め、引き継ぐ日に合わせて段取りを組みます。


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監修:中小企業診断士・事業承継士 吾郷 泰佑
京都府を中心に、小規模M&A・事業承継のご相談に1,000件以上向き合ってきました。完全成功報酬で、ご相談から成約まで代表が直接伴走します。
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