電気工事業を長年続けてきた。公共工事・民間工事・住宅リフォーム、さまざまな現場で腕を振るってきた。でも、電気工事士の採用難、2024年問題、次世代への設備投資——考えることが増える一方で、後継者もいない——そんな京都の電気工事業経営者に読んでいただきたい記事です。廃業には工具・部材在庫・車両・倉庫の処分で想像以上の費用がかかります。一方、建設業許可・電気工事士の資格保有者・ゼネコンとの継続取引は、買い手から見て非常に魅力的な資産です。廃業を決める前に、一度だけ比較してみてください。
廃業とM&A、何が違うか
| 廃業 | M&A | |
|---|---|---|
| 取引先への影響 | 発注元との関係が途絶える | 継続して受注できる |
| 売却対価 | なし(処分費用が発生) | あり(許可・資格者・取引先として評価) |
| 電気工事士・従業員の雇用 | 全員解雇 | 継続雇用が前提 |
| 工具・在庫・車両処分 | 200万〜600万円が必要 | 不要(資産として評価される) |
| 建設業許可・電気工事業登録 | 廃止届を提出 | 買い手に承継または再取得 |
電気工事業の廃業にかかる費用の目安
- 工具・計測機器の処分:デジタルマルチメーター・絶縁抵抗計・脚立・高所作業車等で50万〜150万円
- 部材在庫の処分:ケーブル・配管・照明器具・制御盤部品等の在庫処分で30万〜100万円
- 作業車両・工事車両の処分:ハイエース・軽トラ・高所作業車などの売却または廃車で30万〜100万円
- 倉庫・事務所の原状回復:自社倉庫なら床・配電盤の復旧、賃貸なら原状回復で30万〜80万円
- 建設業許可廃業届・行政書士費用:手続きで10万〜30万円
- 従業員(電気工事士・現場監督)への退職金:規模・在籍年数により数百万円以上
合計の目安: 200万〜600万円
公共工事で保有している指名願の取り下げ、顧客から預かっている図面・配線図の引き渡し対応も必要で、廃業時の事務負担は金額だけでは測れません。また、現在進行中の工事の引継ぎや協力会社への連絡も、誠実に対応する必要があります。
電気工事業がM&Aで評価される理由
建設業許可・電気工事業登録の承継価値
電気工事業を営むには、建設業許可(電気工事業)または電気工事業者登録が必要で、主任電気工事士の配置・財務要件・事務所要件などを満たし審査を通過しなければなりません。既存会社のM&Aなら、これらの許可・登録をそのまま承継(または円滑に再取得)でき、買い手は承継初日から営業できるという大きな価値を得ます。
電気工事士資格保有者の継続雇用
第一種・第二種電気工事士、主任電気工事士、電気主任技術者といった有資格者の採用は近年ますます困難です。特に第一種電気工事士は高圧工事に必須で、現場の要です。既存会社を承継すれば経験ある有資格者をまとめて引き継げるため、買い手の人材確保コストは大幅に削減されます。「人ごと承継できる」こと自体が事業の価値を押し上げます。
ゼネコン・ハウスメーカーとの継続取引
長年築いてきたゼネコン・ハウスメーカー・工務店との取引関係は、一朝一夕には築けない無形資産です。指名での発注、継続的な協力関係、信頼で成り立つ仕事の回し方——これらは新規参入者には真似できません。買い手にとって「発注元関係ごと承継できる」ことは、安定した受注基盤を取得することと同義です。
太陽光・EV充電器・オール電化の成長分野
カーボンニュートラル推進、EV普及、住宅のオール電化——電気工事業には複数の成長ドライバーが重なっています。これら新しい需要に対応したい事業者、既存事業を基盤に新分野へ進出したい投資家にとって、電気工事会社の承継は時流に合った選択です。2024年問題で人手不足が深刻化する中、既存人材の取り込みは買い手側の急務でもあります。
M&Aで想定される買い手
- 大手・中堅電気工事会社(エリア拡大・人材補強を進める事業者)
- ゼネコン・設備工事会社(電気工事部門の内製化・強化を目指す企業)
- 太陽光・EV充電器関連事業者(工事体制の確保を進めるグリーン系事業者)
- ハウスメーカー系列(住宅電気工事の内製化を進める企業)
- 独立開業を目指す電気工事士(勤務電工からの独立希望者)
京都の電気工事業M&Aの動向
京都は歴史的建造物の電気設備更新、新築住宅、観光施設・商業施設の改修、寺社仏閣の照明・防災設備など、電気工事需要が多様に存在するエリアです。一方、電気工事士の高齢化・人手不足、2024年問題による工期延長、資材高騰など、経営環境は年々厳しくなっています。京都府内では、地場の中堅電気工事会社による小規模事業者の買収、ゼネコンによる電気工事部門の系列化、再エネ関連事業者による工事体制の取り込みなど、多様なM&A案件が継続的に発生しています。建設業許可・有資格者・ゼネコン関係の3点を揃えた会社は、規模にかかわらず引き合いが強い状況です。
いつ動けばいいか
電気工事業のM&Aは、建設業許可が有効なうち、有資格者が在籍しているうち、ゼネコンとの関係が維持されているうちに動くのが鉄則です。「主任電気工事士が引退間近」「若手電工士が確保できない」「2024年問題で受注を絞らざるを得ない」——こうした課題が顕在化してからでは、買い手側の評価は下がります。許可更新の前、次の大型工事車両の更新を控えたタイミング、後継者不在が明確になったタイミング。このいずれかが訪れたら、一度相談してみてください。相談は無料で、売ると決めていなくても構いません。
廃業を選ぶ前に検討してほしいこと
電気工事業の廃業は、工具・部材・車両処分で200万〜600万円の費用が発生します。しかし金額以上に、失われる無形資産が大きい業種です。苦労して取得した建設業許可、長年積み上げた公共工事の指名願、熟練電工士の雇用、ゼネコンとの継続取引——これらはすべて、廃業届の提出とともにゼロに戻ります。加えて、進行中の工事の引継ぎ、長年勤めた従業員の再就職支援、個人保証の整理、取引先への連絡など、事務負担も膨大です。一方、M&Aなら、無形資産は買い手に引き継がれ、従業員の雇用は守られ、ご自身は売却対価を引退後の資金に充てられます。廃業とM&A、両方のシナリオを並べて比較する価値は十分にあります。
よくある質問
Q. 小規模な個人経営の電気工事業で、従業員も数名です。それでも買い手は見つかりますか?
A. 見つかるケースは多くあります。規模の大小より、建設業許可・有資格者・取引先の安定性が重視されます。地場の中堅電気工事会社から見て、「地域の優良取引先と有資格者をまとめて獲得できる」小規模事業は魅力的な候補です。
Q. 主任電気工事士の資格を私自身が持っています。引退後の許可維持はどうなりますか?
A. 重要なポイントです。承継後は買い手側で主任電気工事士を配置する必要があります。ご自身が引き継ぎ期間として1〜2年残っていただくスキーム、買い手側で有資格者を先に採用してから承継を進めるスキームなど、柔軟に対応できます。許可の継続性は、スキーム設計の中で必ず確保されます。
Q. ゼネコンとの取引中心で、帳簿上の利益は薄いです。M&Aで評価されますか?
A. 帳簿利益だけで評価が決まるわけではありません。ゼネコンとの継続取引、指名願、社内で確立された工事プロセス、有資格者の在籍——こうした無形資産は、「数字に見えにくい価値」として買い手が評価する領域です。薄利の会社でも、関係性と資格で十分な評価を得られるケースは多くあります。
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まずはご相談ください
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