68歳。京都市内で40年続く印刷会社の代表です。決算書を見れば、利益は出ています。借金もありません。従業員も食べていける、お客様もついてくれている。それでも近頃、自分の中に「もう、ここで終わりにしようか」という声が聞こえる日が増えました。
このページにたどり着いた方は、似たような場面に立っておられるのではないでしょうか。会社は黒字で、表向きは何も問題がない。けれど、後継者はいない。自分の体力も気力も、以前のように現場に立てるかわかりません。誰にも相談できないまま、いつしか「畳むしかないか」という結論が、自分の中だけで先に決まってしまっている。
このページでは、黒字なのに廃業を選ぶ前に、経営者に知っておいていただきたい現実を、できるだけ正直にお伝えします。
まずは秘密厳守でお話を伺います
会社を畳むかどうか考え始めた段階では、従業員にも、取引先にも、家族にもまだ話せない、というのが正直なところかと思います。M&Aつなぐパートナーズへのご相談は、すべて秘密厳守でお受けします。情報が外に漏れて、従業員や取引先の動揺を招くようなことは一切ありません。「ちょっと話を聞いてみるだけ」のご相談からで構いません。
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いま、黒字なのに廃業を選ぶ経営者が増えている
少し前まで、廃業といえば「業績が悪くなった会社の選択肢」と思われがちでした。けれど近年、その認識は明らかに変わってきています。
帝国データバンクの調査によると、2025年に全国で休業・廃業、解散した企業は約6万8千社にのぼり、過去10年で2番目に多い水準となりました。京都府内に絞ってみても、2024年に休業・廃業、解散した企業は1,226社で、2年連続の増加となっています。
注目すべきは、この中身です。休廃業する直前期の決算が「黒字」だった企業の割合は、2025年で約49%。年間にすると、全国で3万社以上が、黒字のまま会社を畳んでいる計算になります。経営者の平均年齢は71歳台。後継者不在、経営疲労、健康不安などを背景に、業績は健全なまま事業を畳む経営者が、決して少なくないのです。
帝国データバンクはこの現象を、表に出ることなくひっそりと事業を畳む「静かな退場」と呼んでいます。倒産のように報道されることもなく、地域からも気づかれにくい。けれど確かに、年間数万社という単位で、黒字の会社が市場から消えていっています。
つまり、あなたが「黒字なのに畳むのは自分だけだろうか」と感じているなら、それは事実とは違います。同じ立場の経営者は、全国にも京都府内にも、たくさんおられます。
黒字なのに廃業を選んでしまう、3つの理由
ご相談に来られる経営者から伺うお話を整理すると、黒字でありながら廃業を考える理由は、おおむね3つに分かれます。
一つ目は、後継者がいないという問題です。ご子息やご息女が別の道に進まれている。親族の中に継ぐ気のある人がいない。社内の従業員にも、経営まで引き受けられる人材は育っていない。日本全体で経営者の高齢化が進む一方、後継者を探す道筋が見えにくくなっています。
二つ目は、経営疲労と健康不安です。40年、50年と会社を守ってきた経営者は、体力的にも気力的にも、若い頃のような無理が利かなくなっています。仕入先との交渉、銀行との折衝、従業員のマネジメント、税務署や行政への対応——すべてを一人でこなしてきた疲労は、年齢を重ねるほど深くなります。
三つ目は、「自分の役割は終わった」という気持ちの整理です。これは数字には表れにくい部分ですが、長年会社を経営してきた方の多くが、ある時期から「もう自分が引っ張る時代ではない」と感じ始めます。事業環境の変化に対応する気力が、以前ほど湧かなくなる。新しいことを始めるより、静かに幕を引きたい、という気持ちが強くなる。
どれも、経営者として真面目に会社に向き合ってきたからこそ、自然と出てくる感情です。決して怠けや投げやりではありません。
「静かな退場」と呼ばれる現象
黒字廃業の特徴は、その「静かさ」にあります。
業績不振による倒産であれば、地域や取引先に話題が広がります。新聞にも掲載されることがある。けれど、黒字廃業は違います。事業を続ける体力があるうちに、周囲に悟られないよう、静かに準備を進めて、ある日ふと幕を閉じる。多くの経営者が、自分の決断を従業員や取引先に告げるその瞬間まで、誰にも相談していません。
ご相談に来られる経営者の多くも、最初は「妻にも話していない」「税理士にも言っていない」とおっしゃいます。決断が固まるまで、誰にも明かしたくない。あるいは、明かしてしまうと止められそうで、その前に自分の中で結論を出したい。そういう気持ちは、自然なことだと思います。
けれど、ここで一つだけ立ち止まっていただきたいのです。黒字廃業を選んだ経営者の中には、「一度だけ専門家に相談しておけばよかった」と、後になっておっしゃる方がいます。畳む決断そのものを変えたいわけではなく、自分の会社にどんな選択肢があったのか、一度だけでも全体像を知っておきたかった、という気持ちです。
黒字廃業を選ぶと、失われるもの
廃業の手続きを進めるなかで、後になって「これは失いたくなかった」と話される経営者がいます。決断の前に、何が失われるのかを正確に把握しておくことには、意味があります。
一つ目は、従業員の雇用です。長年一緒に働いてきた従業員は、廃業とともに職を失います。退職金を支払うとしても、新しい職場を見つける負担は、本人と家族にのしかかります。
二つ目は、取引先との関係です。長年お世話になった仕入先、定期的に発注をくださるお客様、その関係性はあなたの会社が築いてきた財産です。廃業によって、その関係性は終わります。
三つ目は、会社そのものと屋号です。40年、50年と守ってきた看板が、自分の代で消えます。先代から受け継いだ会社なら、なおさら重い決断です。
黒字廃業の現実コスト
もう一つ、廃業を考える経営者が見落としがちな点があります。それは、廃業そのものにかかるコストです。
事務所や工場の原状回復費用は、長く借りている物件ほど大きくなります。製造業であれば、設備の解体・撤去・処分費用が発生します。在庫の処分にも費用がかかり、値引き販売や廃棄処分を選ばざるを得ないこともあります。
従業員への退職金支払い、税務処理の専門家報酬、登記費用——細かい費用を積み上げると、廃業の手取りは、当初の想定より相当少なくなるケースが少なくありません。「黒字で畳むのだから手元にはまとまった金額が残るはず」と思っていたが、実際に試算してみると思ったほどではなかった、というお声をよく伺います。
廃業を検討する場合は、「廃業した場合の実際の手取り額」を、専門家に試算してもらってからの判断をお勧めしています。試算だけなら数日でできます。
黒字廃業の前に、知っておきたい選択肢
黒字で廃業を考える経営者には、実は複数の選択肢があります。すべての経営者にすべての選択肢が当てはまるわけではありませんが、知らないまま廃業を決めてしまうのはもったいない、というのが正直なところです。
M&A(第三者承継)は、最も多い選択肢です。会社の事業を、外部の買い手に譲渡します。黒字の会社は買い手から評価されやすく、譲渡対価が見込めるケースが多いです。従業員の雇用、取引先との関係、屋号、地域での信用——これらを残しながら、経営者は引退できます。
従業員承継・MBOは、社内の従業員に会社を引き継ぐ方法です。長年一緒に働いてきた幹部社員が会社を引き継ぐことができれば、社風や顧客との関係性を最も自然に残せます。資金調達の課題はありますが、近年は親族外承継を支援する制度も整ってきています。
一部譲渡・一部廃業は、事業の一部だけを買い手に譲渡し、残りを廃業する方法です。すべての事業に買い手が見つからなくても、収益性の高い部門だけ譲渡することで、従業員の一部を残し、地域での貢献を一部継続できます。
どの選択肢が合うかは、会社の規模、事業内容、財務状況、経営者のお気持ちによって変わります。「うちの会社は売れないだろう」と思っておられる経営者でも、ご相談のなかで意外な買い手候補が見つかることはあります。
M&Aを選んだ場合と、黒字廃業との違い
M&Aと黒字廃業、それぞれを選んだ場合に何が違うのか、整理しておきます。
| 観点 | 黒字廃業 | M&A |
|---|---|---|
| 経営者の手取り | 売却代金から廃業コストを差し引いた残額 | 譲渡対価(黒字会社は評価されやすい) |
| 従業員の雇用 | 退職 | 買い手のもとで継続(契約で交渉可) |
| 屋号・看板 | 消滅 | 残せる(契約で交渉可) |
| 取引先との関係 | 終了 | 買い手に引き継ぐ |
| 準備期間 | 数ヶ月〜1年 | 6ヶ月〜1年 |
| 買い手が見つからない場合 | 該当なし | 廃業に切り替える選択は可能 |
注意していただきたいのは、M&Aが必ず成立するわけではない、という現実です。買い手が見つからない可能性はあります。それでも、「買い手を探してから、見つからなければ廃業」という順番にすることで、両方の選択肢を残せます。逆に、最初から廃業を決めてしまうと、M&Aの可能性は永久に消えます。
決断する前に、確認したい3つの問い
黒字廃業を決める前に、ご自身で確認しておいていただきたい問いがあります。
一つ目。廃業の実際の手取り額を、専門家に試算してもらいましたか。「黒字だから手元に残るはず」という感覚ではなく、具体的な数字で確認することをお勧めします。
二つ目。買い手がいないと、本当に確認しましたか。「自分の会社を買う人などいないだろう」という思い込みは、経営者がよく抱える誤解です。確認しないまま廃業を決めると、後になって「もしかしたら売れたかもしれない」という気持ちが残ることがあります。
三つ目。家族と決断を共有しましたか。会社を畳む決断は、ご家族にも大きな影響があります。配偶者、ご子息ご息女、それぞれにとっても重い話です。一人で決めてしまわず、一度だけでも話し合っておかれることをお勧めします。
この3つの問いに「はい」と答えられるなら、廃業を選ぶ準備は整っています。もしどれか一つでも「まだ」とお感じなら、決断の前に一度、ご相談ください。
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