運送業界・運送会社の売却価格の相場は?M&A価格の決め方【京都】

「うちの運送会社、いくらで売れるのか」——まずここを知りたいという経営者が多いです。

運送会社の売却価格は、許可・車両・ドライバー・荷主との契約の組み合わせで決まります。「車両が何台だからいくら」という単純な目安はありません。この記事では、実際に使われる価格の計算方法と、今の運送業界における買い手の動向をお伝えします。

売却価格はどう決まるか

小規模M&Aでは、売却価格は「時価純資産+のれん」という考え方で算出するのが一般的です。

時価純資産とは、資産から負債を引いた純資産を時価ベースで評価したものです。車両が多くても借入が多く債務超過なら価格はつきません。逆に車両が少なくても、収益性が高く安定した荷主との契約があれば相応の価格がつきます。燃料費・修繕費の実態、オーナーの役員報酬の適正化なども査定に影響します。

のれんは、事業の収益力・許可の希少性・荷主との関係の安定性に対する評価です。直近1〜3年の営業利益(または経常利益)に倍率をかけて算出します。まずは決算書3期分を見せていただければ、おおよその価格帯をお伝えできます。

のれん倍率を左右する4つの要素

①一般貨物自動車運送事業許可の価値

許可の新規取得には、車両5台以上・営業所・車庫・ドライバーなどの要件を満たす必要があり、申請から許可まで4〜6ヶ月かかります。既存の許可ごと引き継げるM&Aは、買い手にとって大きなコストと時間の節約になります。許可の種類(一般・特定・霊柩・特殊)が多いほど評価は高くなります。

②荷主・配送ルートの安定性

長期の荷主契約・安定した配送ルートは収益の確実性として高く評価されます。複数の荷主と取引があるほど収益の安定性が増します。特定の1社への依存度が高い場合はリスクとして見られますが、その荷主が大手・安定企業であれば評価に影響しにくいケースもあります。

③ドライバーの人材

ドライバー不足は業界全体の深刻な課題です。2024年問題(時間外労働の上限規制)以降、ドライバーの確保はさらに難しくなっています。有資格のドライバーが安定して在籍し、引き続き働いてくれる見通しがあるほど、買い手からの評価は高くなります。

④車両・設備の状態

トラック・冷凍車・特殊車両などの車両は、時価で評価されます。稼働中の状態は処分価格より高く評価されます。自社倉庫・車庫の不動産を保有している場合はその価値も加算されます。車両の年式・整備状況・稼働率が査定に影響します。

運送会社の価格算定の考え方

小規模な運送会社のM&Aでは、売却価格は「時価純資産+のれん(営業利益の2〜3年分)」で算定されることがほとんどです。運送業界全体の統計から売上規模だけで相場が決まるわけではなく、各社の収益性と資産状況で金額が大きく変わります。

時価純資産の考え方

貸借対照表の純資産を、時価ベースで評価し直した金額です。運送業では特に以下の項目が重要になります。

  • 車両の時価評価:減価償却が済んでいる車両でも、中古市場で値段がつくものは加算します
  • 不動産の含み益:営業所・車庫・整備工場などの土地・建物に含み益があれば加算します
  • 退職給付引当金・未払残業代:簿外債務として控除されるケースがあります

のれん(年倍法)の考え方

事業を続けることで生まれる将来の収益価値です。直近の営業利益の2〜3倍を目安に算定することが多いです。この倍率は運送業特有の以下の要素で変動します。

  • 一般貨物自動車運送事業許可を取得していること(新規取得が困難な許可ほど価値が高い)
  • 特定荷主との長期契約があること
  • 2024年問題下でもドライバーを確保・継続雇用できていること
  • 事故率・コンプライアンス体制が整っていること

参考例

営業利益1,000万円・時価純資産3,000万円の運送会社の場合、株価の目安は「3,000万円 + 1,000万円 × 2〜3年 = 5,000万〜6,000万円」程度になります。ただし実際の価格は買い手との交渉で決まるため、あくまで目安として参考にしてください。


2024年問題と運送業界の再編動向

2024年4月のドライバーの時間外労働規制強化により、運送業界は大きな転換期を迎えています。小規模運送会社はドライバー不足・運賃改定交渉の負担が重く、廃業を検討するケースが増えています。

一方で、大手物流会社・3PL事業者は、輸送網の維持・拡大のために既存の運送会社の買収に積極的です。一般貨物自動車運送事業許可・ドライバー・車両をセットで取得できるM&Aは、新規参入や拡大を目指す企業にとって貴重な機会となっています。

「2024年問題で会社の価値が下がったのでは」と不安に感じる経営者もいますが、逆に業界再編の流れの中で買い手需要は高まっています。黒字を維持できているうちに相談することをお勧めします。

M&Aで想定される買い手

①同業の運送会社

エリア拡大・車両台数の増加・ドライバー確保を目的とした買収です。2024年問題を機に、規模の小さい会社が大手・中堅に吸収されるケースが増えています。許可・ドライバー・荷主契約をまとめて取得できるM&Aは、採用や許可取得より効率的な拡大手段です。

②大手物流会社・3PL事業者

地域ネットワークの拡充を目的とした買収です。特定のエリアや品目(冷凍・危険物・医療など)に強みを持つ中小運送会社は、大手が地域カバレッジを広げる際の買収対象になります。

③荷主企業

物流を内製化したい製造業・小売業が買い手になるケースもあります。自社製品の配送を安定させたい荷主にとって、既存のドライバー・車両・ルートを持つ運送会社の取得は効率的な手段です。

京都での運送業M&Aの特徴

京都市内は道幅が狭く、地理に精通したドライバーと小型・中型車両の配送ノウハウが求められます。地元業者が長年かけて築いた配送ルートと荷主との関係は、新規参入者が簡単に代替できるものではなく、買い手から高く評価されます。

また、京都には酒造・伝統工芸・観光業向けの特殊輸送ニーズが存在します。こうした専門性のある配送実績を持つ会社は、同業・荷主企業の双方から関心を持たれます。2024年問題を背景に、京都府内でも中小運送会社への買収打診が増えています。

売却価格を上げるために今できること

主要ドライバーが在籍し続ける環境を整えておくこと。帳簿・決算書を整理し、売上・利益が正確にわかる状態にしておくこと。荷主との契約が継続している段階で動き出すこと。赤字になってからでは評価が大きく落ちます。黒字の段階で動き始めることが、最善の条件で売却するための最短ルートです。

よくある質問

Q. 運送業の許可はM&Aで引き継げますか?

株式譲渡の場合、許可を持つ法人ごと引き継がれるため、許可はそのまま存続します。事業譲渡の場合は、買い手が新たに許可を申請する必要がありますが、既存の車両・ドライバー・実績があることで手続きがスムーズになるケースが多いです。

Q. 2024年問題で会社の価値は下がっていますか?

一概には言えません。収益が圧迫されている会社は評価が下がる一方、ドライバーが安定して在籍し荷主との関係が続いている会社は、むしろ希少性が上がっています。業界再編が加速している今は、動き出すタイミングとして悪くない局面です。

Q. 荷主が1社に偏っていても売れますか?

可能なケースがあります。特定の大手荷主との安定した長期契約は、リスクである一方、その荷主との関係を引き継ぎたい買い手が存在します。「1社依存だから無理」と判断する前に、一度現状をお聞かせください。


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