産業廃棄物処理業を次の世代に引き継ぎたい。でも、息子が継いでくれるか分からない。従業員に継がせるにも許可や設備の継承で悩んでいる——。そんな経営者のために、産業廃棄物処理業の事業承継の選択肢と、それぞれのメリット・デメリットを解説します。
産業廃棄物処理業の事業承継の3つの選択肢
事業承継には大きく3つの選択肢があります。それぞれ特徴が異なるため、自社の状況に合わせて選ぶ必要があります。
①親族承継
息子・娘・娘婿などに事業を引き継ぐ方法です。最も伝統的な形ですが、近年は親族が継がないケースが増えています。
- メリット:経営理念・従業員の雇用・取引先との関係が円滑に引き継げる
- デメリット:後継者の育成に10年程度かかる。相続税・贈与税の対策が必要
- 許可の扱い:産業廃棄物処理業の許可は相続では引き継げないため、後継者が新規取得する必要があります
②従業員承継(EBO・MBO)
長年勤めてきた役員や従業員に事業を引き継ぐ方法です。業務内容を熟知しているため、円滑に承継できます。
- メリット:事業内容・取引先を熟知しており、業務が円滑に続けられる
- デメリット:後継者に株式買取資金がない場合が多い。金融機関の融資や個人保証の問題
- 許可の扱い:株式譲渡なら許可をそのまま引き継げます(法人が変わらない場合)
③M&A(第三者承継)
同業他社や異業種の企業に事業を売却・承継する方法です。近年、最も選ばれるケースが増えています。
- メリット:売却対価が受け取れる。個人保証が解除されるケースが多い。従業員の雇用も守れる
- デメリット:買い手を探すのに時間がかかる(6ヶ月〜1年程度)。条件交渉が必要
- 許可の扱い:株式譲渡なら許可をそのまま引き継げます
産業廃棄物処理業の事業承継で特に重要なポイント
許可の引き継ぎ
産業廃棄物処理業の許可は、事業承継の方法によって扱いが変わります。株式譲渡(法人そのまま)なら許可はそのまま継続しますが、事業譲渡や個人事業の承継では新規取得が必要になります。許可取得には数ヶ月〜1年かかる場合もあり、取得できるかの判断も必要です。
有資格者の継続
特別管理産業廃棄物管理責任者など、有資格者の継続雇用または後継者の資格取得が必要です。これらの資格者がいないと事業継続自体が困難になります。
個人保証の解除
親族承継・従業員承継の場合、後継者が個人保証を新たに引き受ける必要があります。M&Aの場合、買い手企業の信用力で金融機関と交渉し、個人保証が解除されるケースが多いです。
どの方法を選ぶべきか
後継者候補の有無と、その人の意思によって選ぶべき方法は変わります。
- 親族に後継者がいる場合:親族承継を中心に、早めの準備(5〜10年)を始める
- 社内に後継者候補がいる場合:従業員承継を検討。株式買取資金の準備が課題
- 後継者がいない場合:M&Aが最も現実的な選択肢。売却対価を受け取り、従業員の雇用も守れる
どの方法を選ぶにせよ、事業承継には時間がかかります。60歳を過ぎたら、本格的に検討を始めることをお勧めします。
京都の産業廃棄物処理業の事業承継動向
京都府内の産業廃棄物処理業は、経営者の高齢化と後継者不足が深刻化しています。一方、大阪・滋賀の大手廃棄物処理グループが京都エリアへの進出を積極化しており、M&Aによる事業承継の選択肢が増えています。
事業承継・M&A補助金の活用も視野に入ります。M&A費用の一部(最大2/3)が補助されるため、中小規模の事業者にとって負担が軽減されます。
事業承継のタイムラインと準備期間
産業廃棄物処理業の事業承継は、方法によって必要な期間が大きく変わります。
- 親族承継:5〜10年。後継者の育成(業務習得・有資格者化・経営者教育)に最も時間がかかります。相続税・贈与税対策も早期から必要です
- 従業員承継:3〜5年。候補者の選定と育成、株式買取資金の調達、金融機関との調整が必要です
- M&A:6ヶ月〜1年。最も期間が短いですが、希望通りの買い手が見つかるとは限らないため、早めの相談が有利です
いずれの方法も、経営者自身が元気なうちに動き始めることが重要です。体調を崩してから事業承継を考え始めると、選択肢が大幅に狭まります。
事業承継時の税制優遇制度
事業承継を円滑にするため、以下のような税制優遇制度があります。
- 事業承継税制(法人版・個人版):一定の要件を満たせば、非上場株式の相続税・贈与税の納税が猶予・免除されます
- 事業承継・引継ぎ補助金:専門家活用費用の最大2/3(上限600万円程度)が補助されます
- 経営資源引継ぎ補助金:M&Aの仲介手数料・デューデリジェンス費用などが補助対象
- M&A実施時の税制優遇:中小企業事業再編投資損失準備金など、買い手側の税制メリット
これらの制度活用には事前の認定申請が必要なため、早めに専門家へ相談することをお勧めします。
事業承継でよくある失敗
①準備を始めるのが遅い
「もう少し先でいい」と思っている間に、体調を崩したり、後継者候補が他の道を選んだりすることがあります。60歳を過ぎたら本格検討を始めるのが目安です。
②許可の引き継ぎ方を誤る
事業譲渡や合併など、法人格が変わる形態を選ぶと、許可の再取得が必要になります。許可取得には数ヶ月〜1年かかる場合もあり、その間の事業中断リスクがあります。株式譲渡を基本とする方が安全です。
③有資格者の継続を確保できない
特別管理産業廃棄物管理責任者などの有資格者が事業承継と同時に退職してしまうと、事業継続自体が困難になります。後継者体制の整備と並行して、有資格者の継続雇用も計画する必要があります。
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