動物病院の売却・M&Aは誰に相談?京都の事業承継の流れと窓口

動物病院の譲渡や事業承継を考え始めたとき、最初に迷うのが「どこに相談すればいいのか」です。

相談先は、M&A仲介会社、顧問の税理士・会計士、獣医師会のつてや知人の紹介、国の認定を受けた事業承継の支援機関の4つで、大手仲介が扱いにくい規模の動物病院なら、支援機関が向いている場合があります。相談を始めるのは、院長先生が現役で診療を続けているうちです。資料は揃っていなくても構いません。

動物病院の譲渡やM&Aは、一般の会社の売買とは少し勝手が違います。患者である動物たちや、その飼い主さんとの信頼関係、専門資格を持つスタッフ、特殊な医療機器。引き継ぐものが多いぶん、最初の相談先の選び方で、その後の進み方が変わります。

「まだ売ると決めたわけではない」「家族にもまだ話していない」。その段階で構いません。むしろ、その段階だからこそ、早めにお話を聞かせていただきたいのです。相談の内容は外に出さず、スタッフや取引先、飼い主さんに知られないように、静かに検討を進めます。

動物病院の譲渡は、どこに相談できる?

相談先にはいくつかの選択肢があり、それぞれに得意なことと限界があります。

まず、M&A仲介会社です。買い手探しから条件交渉まで、まとめて任せられるのが強みです。ただし、大手の仲介会社には、ある程度の規模(売却額が大きい案件)を主な対象とするところがあり、小規模な動物病院は「対応の対象外」とされたり、後回しにされたりすることがあります。手数料体系も、会社によって大きく異なります。

次に、顧問の税理士・会計士です。ふだんから決算を見てもらっている安心感があります。一方で、M&Aや事業承継の実務に精通しているとは限りません。「数字は分かるが、買い手の探し方や交渉は専門外」というケースもあります。

獣医師会のつてや知人の紹介も、相談先の一つです。相手の人柄が分かる安心感があります。ただ、身近な相手だからこそ「断りづらい」「条件交渉がしにくい」といった難しさがあり、検討段階の情報が業界内に広まってしまうリスクもあります。

もう一つの選択肢が、国の認定を受けた事業承継の支援機関(認定経営革新等支援機関)に相談するという方法です。

認定支援機関は、中小企業の事業承継を公的な裏付けのもとで支援する立場にあり、小規模な案件であっても、売り手の立場に立って親身に伴走することを役割としています。大手仲介が扱いにくい規模の動物病院こそ、こうした相談先が向いている場合があります。

動物病院の譲渡は、いつ相談を始めればいい?

相談を始めるのに、「早すぎる」ということはありません。

動物病院の譲渡では、買い手となる獣医師や法人を探すのに時間がかかります。条件の合う相手が見つかるまで、半年から一年、あるいはそれ以上かかることもあります。

「体調を崩してから」「気力がなくなってから」動き始めると、選択肢が狭まり、納得のいく相手を選ぶ余裕もなくなってしまいます。

体力も気力も、判断力も十分にあるうちに動き始める。それが、ご自身にとっても、引き継ぐスタッフや動物たちにとっても、いちばん良い結果につながります。

相談の段階では、何の費用も決断も必要ありません。まずは「どんな選択肢があるのか」を知るところから始めれば十分です。

とくに動物病院の場合、院長先生ご自身が現役で診療を続けているうちに動くことに意味があります。

診療を続けながらであれば、患者数や収益が安定した状態で買い手に引き継げます。引き継ぎ期間中に、飼い主さんへ後任の先生を紹介していくこともできます。

反対に、休業や廃業を決めてから動き始めると、患者が離れ、病院としての価値そのものが下がってしまいます。

「まだ元気なうちは大丈夫」と先送りせず、「元気なうちだからこそ相談する」と考えていただきたいのです。

相談の前に、何を準備すればいい?

「きちんと資料を揃えてからでないと相談できない」と考える必要はありません。手ぶらでお越しいただいても、お話を伺いながら一緒に洗い出していけます。

手元にあれば話が早く進むのは、次のようなものです。

  • 直近3期分ほどの決算書
  • スタッフの構成(獣医師・動物看護師の人数や雇用形態)
  • カルテや診療記録の管理方法
  • レントゲンや血液検査機器などの設備のリスト
  • 病院の建物が賃貸か自己所有かという不動産の状況

これらが分かると、譲渡の進め方や想定されるスケジュールについて、より具体的にお話しできます。

すべてが揃っていなくても構いません。「決算書がどこにあるか分からない」という状態からでも、相談を始めることはできます。

動物病院の譲渡で、相談しておきたいこと

動物病院の譲渡には、ほかの業種にはない固有の論点があります。相談の段階から、こうした点も気にかけておくと安心です。

まず、院長個人への信頼をどう引き継ぐかです。動物病院には、「あの先生だから連れていく」という、院長個人への信頼で成り立っている面があります。譲渡後も飼い主さんに安心して通い続けてもらうには、引き継ぎ期間をどう設けるか、院長がしばらく診療に残るかどうかなどを、相手と相談して決めていく必要があります。

次に、スタッフの雇用をどう守るかです。勤務獣医師や動物看護師は、病院にとってかけがえのない財産です。譲渡後も働き続けられるよう、雇用の継続を買い手と取り決めておくことが、スタッフの安心にもつながります。

飼い主さんへの告知のタイミングも決めておきます。いつ、どのような形で飼い主さんに伝えるか。早すぎれば不安を与え、遅すぎれば不信につながるので、相手とよく相談しながら、丁寧に進めるべき部分です。

医療機器やカルテシステムの扱いも、条件に関わります。動物用の医療機器やカルテ管理システムをそのまま引き継ぐのか、それとも入れ替えるのか。これによって、譲渡の条件や引き継ぎの進め方が変わってきます。

こうした一つひとつを、院長先生お一人で抱え込む必要はありません。それぞれをどう考え、どう進めていくかを一緒に考えるのが、当社の役割です。

相談から引き継ぎまで、どんな流れで進む?

「相談したら、いきなり話が進んでしまうのでは」と心配される方もいらっしゃいます。実際の流れは、もっとゆっくりとしたものです。

最初は、現状をお聞きするだけの面談から始まります。病院の状況やお気持ちを伺い、どのような選択肢があるのかをご説明します。この段階で「やはりもう少し考えたい」となれば、それで構いません。

譲渡を前向きに検討される場合は、病院の価値を確かめ、どのような買い手が候補になりうるかを検討していきます。

条件の合いそうな相手が見つかったら、面談を重ねながら、お互いの希望をすり合わせていきます。合意に至れば契約を結び、引き継ぎ期間を経て、正式に譲渡が完了します。

この間、院長先生のペースを最優先します。途中で立ち止まることも、見送ることもできます。

最初の面談で決めていただくことは、何もありません。院長先生が診療を続けているうちに、一度お話を聞かせてください。


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動物病院をどうしていくか。その答えは、院長先生お一人で出すには重すぎるものです。20年、30年と築いてこられた病院を、納得のいくかたちで次へつなぐために、まずは誰かに話してみることから始めませんか。

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監修:中小企業診断士・事業承継士 吾郷 泰佑
京都府を中心に、小規模M&A・事業承継のご相談に1,000件以上向き合ってきました。完全成功報酬で、ご相談から成約まで代表が直接伴走します。
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