62歳。定員10名の放課後等デイサービスを、京都で10年続けてきた。児童発達支援管理責任者の採用は年々難しくなり、自分の体力にも限りが見えてきた。息子は継がない。「自分が辞めたら、通ってくれている子どもたちの居場所がなくなる」——その思いだけで、引退を先延ばしにしていないでしょうか。
廃業だけが出口ではありません。指定・スタッフ・利用者基盤を一体で引き継げる放課後等デイサービスは、福祉施設のなかでも買い手ニーズが高い業種のひとつです。閉めることを決める前に、事業を譲るという選択肢を知っておいてください。
ご相談は秘密厳守です。相談したことがスタッフや保護者、行政に伝わることはありません。売ると決めていない段階のご相談が、実際にはいちばん多いです。
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※このページは障害のあるお子さん向けの放課後等デイサービスの売却について解説しています。高齢者向けデイサービス(通所介護)の売却をお考えの方は、デイサービス(通所介護)の売却・M&A・事業承継をご覧ください。
うちのような小さな事業所でも、売却の対象になるのか
「定員10名で1事業所だけ。うちなんか買い手がつくのか」——最初のご相談で、ほとんどの方がこうおっしゃいます。
結論から言うと、規模の小ささは決定的な問題ではありません。買い手が見ているのは定員の多さではなく、定員充足率・スタッフ体制・立地です。定員10名以下の事業所でも、利用者が安定して通所しており、児童発達支援管理責任者(児発管)が在籍していれば、買い手がつくケースは十分にあります。複数店舗を展開していれば評価はさらに上がりますが、1事業所のみでも「規模が小さいから難しい」と判断する前に、一度状況をお聞かせください。
売却で守れるもの——お金だけの話ではありません
廃業と比べて、M&Aで事業を譲ると何が守れるのか。先に全体像をお伝えします。
- 経営者個人の保証・借入からの解放:法人の借入に社長個人が保証を入れている場合、株式譲渡では買い手側への保証の付け替え・解除を交渉するのが一般的です。廃業して返済しきれなければ保証は個人に残りますが、譲渡なら「保証を外して引退する」道が開けます。
- 子どもたちの居場所:利用者のお子さんは原則としてそのまま同じ事業所に通い続けられます。発達に特性のある子どもにとって、支援環境の急な変化は大きな負担です。運営者が変わっても、日々の支援と生活リズムは守られます。
- スタッフの雇用:廃業なら全員解雇ですが、譲渡なら雇用はそのまま引き継がれるのが基本です。児発管や指導員の処遇が改善されるケースもあります。
- 譲渡対価:廃業では原状回復や在庫処分などの持ち出しが発生する一方、譲渡なら指定・人材・利用者基盤の価値が評価され、対価を受け取れます。
売却を考える典型的なきっかけ
放課後等デイサービスの売却相談には、業種ならではのきっかけがあります。心当たりがあれば、それは動き出すサインです。
児発管の退職・採用難
児発管の配置は運営の必須要件です。退職の申し出があってから後任を探しても、業界全体で人材が不足しており、簡単には見つかりません。児発管が在籍しているうちに譲渡まで進められるかどうかで、事業の評価は大きく変わります。
報酬改定後の収支悪化
2024年の報酬改定以降、加算の取得体制が整っていない小規模事業所ほど収支が厳しくなっています。「制度への対応を続ける体力がない」という理由での譲渡相談は、決して珍しくありません。
後継者不在・経営者の年齢や体調
子ども向け事業は現場の負担が大きく、経営者の年齢や健康の問題が続けられない理由になりがちです。親族にも従業員にも引き継ぐ相手がいない場合、第三者への譲渡が現実的な選択肢になります。
共通して言えるのは、廃業や閉所を決めてからでは遅いということです。利用者が減り、スタッフが離れてからでは、事業の評価は大きく下がります。
売却価格はどう決まるか
小規模な放課後等デイサービスのM&Aでは、売却価格は「時価純資産+のれん(営業利益の2〜3年分)」で算定するのが一般的です。定員や売上規模だけで相場が決まるわけではなく、収益性と資産状況、そして放デイ特有の指定・人材の状況で金額が大きく変わります。
時価純資産の考え方
貸借対照表の純資産を、時価ベースで評価し直した金額です。放課後等デイサービスでは次の項目が中心になります。
- 内装・療育設備:改修費をかけた内装や教具・療育機器は時価評価で加算します
- 送迎車両:保有している送迎車両は中古価値で評価します
- 敷金・保証金:賃貸物件の敷金は回収可能性を精査します
- 退職給付引当金・未払残業代:簿外債務として控除されるケースがあります
のれん(年倍法)の考え方
事業を続けることで生まれる将来の収益価値です。直近1〜3年の営業利益の2〜3倍を目安に算定することが多く、次の要素で倍率が変動します。
- 児発管が在籍し、譲渡後も継続して働いてくれる見通しがあること
- 定員充足率が高く、利用者の契約が安定していること
- 各種加算(児童指導員等加配加算・専門的支援加算など)を取得していること
- 行政指導・監査での指摘事項がないこと
参考例
営業利益500万円・時価純資産1,500万円の放課後等デイサービスの場合、株価の目安は「1,500万円 + 500万円 × 2〜3年 = 2,500万〜3,000万円」程度になります。ただし実際の価格は買い手との交渉で決まるため、あくまで目安です。複数店舗を展開している場合や加算体制が充実している場合は、さらに上振れるケースもあります。決算書3期分を拝見できれば、おおよその価格帯をお伝えできます。
買い手はどこにいるか
①多店舗展開を目指す放課後デイ運営法人
エリア拡大・定員増加を目的とした買収です。既存の指定・スタッフ・利用者基盤が揃った状態で取得できるM&Aは、新規開設より大幅にコストと時間を節約できるため、こうした法人からの買収打診は増えています。
②児童発達支援・保育・学童の運営法人
子ども向けサービスを一体的に提供したい法人が、放課後デイを加えてサービスを拡充するケースです。既存の利用者ネットワークと保護者との信頼関係が、引き継ぎの魅力になります。
③介護事業者・社会福祉法人
介護分野から障害福祉サービスへ事業を広げたい法人が買い手になるケースです。すでに福祉事業の運営ノウハウを持つ法人にとって、放デイへの参入はサービスの多角化につながります。
株式譲渡と事業譲渡——「指定」はどうなるか
放課後等デイサービスの譲渡・買収で最も特徴的なのが、自治体の「指定」の扱いです。譲渡の方法によって手続きが変わります。
株式譲渡の場合:指定を持つ法人ごと引き継ぐため、指定はそのまま存続します。利用者との契約も法人に紐づいたまま変わらず、現場への影響が最も小さい方法です。役員変更などの届出で足りるケースが多く、小規模M&Aではこの形が中心になります。
事業譲渡の場合:買い手が新たに指定申請を行う必要があります。ただし、既存の実績・スタッフ・設備が揃っていることで、手続きがスムーズに進むケースが多いです。
いずれの場合も自治体への届出・調整が伴うため、ご相談から引き渡しまでは通常6ヶ月〜1年程度を見てください。「まだ決めていない」段階から動き始めることで、納得のいく条件を選べる余裕が生まれます。
京都の放課後等デイサービス市場
京都市内および周辺地域では、障害のあるお子さんへの支援ニーズが安定して続いています。特別支援学校・支援学級の利用者が多い地域と、発達支援に特化した事業所が集まるエリアが混在しており、事業所の専門性(運動療育・感覚統合・学習支援など)によって買い手候補が変わります。自社の強みを整理しておくことが、良い譲渡先に出会う近道です。
また、京都市内では送迎エリアの確保が課題になりやすく、既存の送迎ルートと車両を持つ事業所は買い手から高く評価されます。買い手候補としては、京都の社会福祉法人・介護事業者・多店舗展開を進める放デイ運営法人が見込め、府内に限定しても引き継ぎ先が見つかりやすい業種です。
廃業とM&A——数字と現実の比較
廃業(閉所)を選ぶと、在籍する利用者のお子さんは別の事業所を探さなければならず、スタッフは全員解雇、指定も消滅します。売却対価はなく、原状回復費などの持ち出しが残ります。
- 廃業の場合:利用者の転所が必要・スタッフ全員解雇・指定も消滅・売却対価なし
- M&Aの場合:利用者の通所継続・スタッフ雇用継続・指定引き継ぎ・売却対価あり・個人保証解除の道
「自分が辞めたら子どもたちの居場所がなくなる」という理由で引退を先延ばしにしている経営者は少なくありません。M&Aは、利用者を守りながら経営者が引退するための手段です。売却の具体的な進め方や相談の流れは、放課後等デイサービスを売却したい方へで詳しくご案内しています。
よくある質問
Q. 保護者やスタッフには、いつ伝えることになりますか?
検討段階で伝える必要はありません。交渉は秘密保持契約のもとで進め、スタッフ・保護者への説明のタイミングは基本合意後に売り手・買い手で慎重に設計します。情報管理は私たちが最も気を配る部分です。
Q. 赤字でも売れますか?
可能性はあります。のれんの評価は下がりますが、指定・児発管の在籍・利用者基盤そのものに価値を見出す買い手はいます。廃業コストと比較すれば、譲渡のほうが手元に残るケースもあります。
Q. 相談したら、売らないといけませんか?
いいえ。ご相談いただいた方の中には、検討の結果「もう少し自分で続ける」と決めた方もいます。選択肢を知ったうえで納得して決める——そのための入口としてご利用ください。
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まずはご相談ください
「売ると決めたわけではない」という段階でも構いません。会社がいくらになるのか、廃業と売却どちらが得なのか——そういった入口でも、お話をお聞きします。
一人で抱えているより、一度ご相談いただく方が、気持ちが楽になることがあります。
ご相談を、代表の吾郷が直接お受けします。
監修:中小企業診断士・事業承継士 吾郷 泰佑
京都府を中心に、小規模M&A・事業承継のご相談に1,000件以上向き合ってきました。完全成功報酬で、ご相談から成約まで代表が直接伴走します。
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