帝国データバンクによると、京都府で休廃業・解散した企業は2025年に1,259件で、調査を始めてから最も多くなりました(個人事業主を含む企業の数で、倒産は含みません)。
株式会社は、株主総会で解散を決めてから清算結了の登記を終えるまで、早くても2か月以上かかります。ご相談で社長から聞くのは、その間の登記の費用のことより、店の原状回復や設備の処分、保証で返すことになった借入の話です。
会社をたたむ流れ
解散は、株主総会の特別決議で決めます。出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成が要ります(会社法第471条・第309条)。清算人(会社の後始末をする人)は、定款や総会で別の人を決めなければ、取締役がそのままなります(第478条)。解散と清算人の登記は、解散の日から2週間以内です(第926条・第928条)。
そのあと官報で、会社にお金を貸している人や支払いの残っている取引先に、2か月以上の期間を決めて「申し出てください」と知らせます。分かっている相手には、個別にも知らせます(第499条)。この期間中は、原則として借入などを返せません(第500条)。
財産を売って借入や未払いを払い、残りを株主に分けます。終わったら決算報告を株主総会で承認し、その日から2週間以内に清算結了の登記をします(第507条・第929条)。法務局は、清算結了の決議は解散の決議から2か月以上あけるよう案内しています。
法務局と官報に払うお金
登録免許税は、解散と清算人の登記で39,000円、清算結了の登記で2,000円です。官報の公告は、会社の場合1行3,947円で、1行は22文字です。解散の公告が何行になるかは、文面で決まります。
登記や税金の申告を司法書士や税理士に頼めば、その報酬がかかります。報酬は事務所によって違います。
登記の費用のほかに出ていくお金
借りている事務所や店、工場は、返す前に原状回復をします。壁や床、厨房や機械の据え付けまで取り払うのか、借りたときの状態に戻すだけでよいのかは、契約書の原状回復の条項で決まります。
売れない機械や在庫は処分します。産業廃棄物として処分すれば、その費用は会社が払います。帳簿に資産として載っている機械でも、閉めるときには処分の費用がかかる側に回ります。
社員に辞めてもらうときは、少なくとも30日前に伝えます。30日前に伝えなければ、30日分以上の平均賃金を払います(労働基準法第20条)。退職金の規程があれば、退職金も払います。
コピー機や車両のリース、電話や警備の契約は、途中でやめたときに残りの分や解約金がかかるかを、それぞれの契約書で確かめます。
借入を払いきれない会社は、このやり方ではたためない
ここまでの流れは、会社の財産で借入や未払いを全部払える会社のやり方です。払いきれないことが分かれば、清算人は破産を申し立てなければなりません(会社法第484条)。債務超過の疑いがあるときは、裁判所が関わる特別清算という手続きもあります(第510条)。
会社の財産で返しきれなかった借入に社長が個人保証をしていれば、残りは社長個人が払います。会社を閉めたあと、保証の分を社長が払うことになったというご相談もあります。会社を引き継ぐときに保証がどうなるかは、会社を譲ったら、社長の個人保証と借金はどうなるのかで書いています。
たたまずに会社を休眠させる場合
事業をやめても解散はせず、会社を残しておくのが休眠です。解散と清算の手続きは要りませんが、会社は残るので、役員の任期が来れば変更の登記が要ります(会社法第915条)。
最後に登記をしてから12年たつと、法務大臣が官報で公告し、2か月以内に「事業をやめていない」と届け出なければ、解散したものとみなされます(第472条)。
京都市は、休業が続いて再開の見通しがはっきりしない会社を、事務所がないものとして扱い、法人市民税をかけません。一時的な休業や、再開の準備をしている場合はかかります。法人等設立・解散・変更届出書の休業の欄に書き、法人の現況申立書を付けて届け出ます。府民税や国の税金の扱いは、税理士に確かめてください。
たたむ前に、引き継いでもらえないかを確かめる
会社ごと引き継いでもらえば、解散も清算もしないので、ここまでの登記も公告も要りません。事務所や店の賃貸借は会社が借りたまま続くので、原状回復もしません。ただ、株主や代表者が変わったら解約できると書いてある契約もあるので、契約書は確かめておきます。
機械や在庫は、次の経営者がそのまま使います。会社の値段は、財産を今の値打ちで計り直した純資産に、利益の何年分かを足して決めることが多く、使える機械や在庫はその純資産の中に入ります。
社員はそのまま働き続け、取引先との仕事も、業種ごとの許可も会社に残ります。社員がどうなるかは、会社を売ったら、従業員はどうなるのかで書いています。個人保証は、引き継ぐ相手と銀行と話して外す段取りを、最終契約の前に決めておきます。
京都で会社の今後を考えている方へ
つなぐパートナーズは、京都府内の中小企業の事業承継・M&Aのご相談をお受けしています。
解散を決める株主総会の前にご相談ください。たたむ場合に出ていくお金と、引き継いでもらう場合に残るものを、一緒に確かめます。
この記事の数字と出典
| 項目 | 数字 | 出典 |
|---|---|---|
| 休廃業・解散(京都府) | 2025年 1,259件(調査開始以降で最多)。企業(個人事業主を含む)。倒産(法的整理)を除く | 帝国データバンク京都支店「京都府・『倒産リスク』分析調査(2025年)」(2026年3月31日) |
| 解散の決議 | 株主総会の決議で解散(第471条第3号)。議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権の3分の2以上の特別決議(第309条第2項第11号) | 会社法 |
| 清算人と登記 | 定款・総会で定めなければ取締役が清算人(第478条)。解散の登記・清算人の登記は解散の日から2週間以内(第926条・第928条) | 会社法 |
| 債権者への公告 | 官報に公告し、知れている債権者には各別に催告。期間は2か月を下ることができない(第499条)。その期間内は原則として弁済できない(第500条) | 会社法 |
| 清算結了 | 決算報告を株主総会で承認(第507条)、承認の日から2週間以内に清算結了の登記(第929条)。清算結了の決議は解散の決議から2か月以上の期間を置く | 会社法/法務局「よくあるご質問<商業・法人登記関係>」Q18 |
| 登録免許税 | 解散及び清算人の選任の登記 3万9,000円/清算結了の登記 2,000円 | 法務局「よくあるご質問<商業・法人登記関係>」Q17/株式会社清算結了登記申請書(様式例) |
| 官報の公告料 | 会社等の各種公告 1行3,947円(税込)。1行は22文字 | 全国官報販売協同組合「官報公告掲載料金」 |
| 払いきれないとき | 財産で債務を完済できないことが明らかになれば、清算人は直ちに破産手続開始を申し立てる(第484条)。債務超過の疑いなどがあれば特別清算(第510条) | 会社法 |
| 休眠会社のみなし解散 | 最後の登記から12年を経過した株式会社は、法務大臣の官報公告から2か月以内に事業を廃止していない旨を届け出なければ解散したものとみなす(第472条)。役員などの変更の登記は2週間以内(第915条) | 会社法 |
| 解雇の予告 | 少なくとも30日前に予告。予告しない場合は30日分以上の平均賃金を支払う | 労働基準法 第20条 |
| 京都市の法人市民税(休業) | 休業状態が継続し再開の見通しが明確でない場合は事務所等がないものとして課税しない。一時的な休業や再開の準備中は課税。届出は法人等設立・解散・変更届出書の休業欄+法人の現況申立書 | 京都市「【Q&A:届出(休業)】」(2026年1月9日) |
最終確認:2026年10月21日
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たたむと決めていない段階で構いません。
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監修:中小企業診断士・事業承継士 吾郷 泰佑
京都府を中心に、小規模M&A・事業承継のご相談に1,000件以上向き合ってきました。完全成功報酬で、ご相談から成約まで代表が直接伴走します。
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