学習塾のM&A・事業承継|後継者不在で迷う塾長が知るべき進め方と現実




「先生、来年もよろしくお願いします」——卒業生の保護者から、何度この言葉をかけられてきたでしょうか。京都市内で個別指導塾を立ち上げて23年、お預かりした生徒の名前と顔は、いまも全員思い出せます。ただ、64歳になった今、来年の春のことを考えると、はじめて言葉に詰まる自分がいます。

このページにたどり着いた方は、似たような場面に立っておられるのではないでしょうか。塾を続けたい気持ちはある。けれど自分の体力も気力も、以前のように生徒一人ひとりに向き合えるかわかりません。後継者を探そうにも、塾の世界は親族承継が難しく、講師の中に「経営まで引き受けてもいい」という人はなかなか現れません。それでも、長年通ってくれた生徒や、応援してくれた保護者を裏切るような幕の閉じ方はしたくない。

このページでは、学習塾のM&A・事業承継について、塾長が知っておくべき進め方と現実を、できるだけ正直にお伝えします。

まずは秘密厳守でお話を伺います

塾の譲渡を考え始めた段階では、生徒や保護者、講師にはまだ何も伝えたくない、というのが正直なところかと思います。M&Aつなぐパートナーズへのご相談は、すべて秘密厳守でお受けします。情報が外に漏れて、生徒や講師の動揺を招くようなことは一切ありません。「ちょっと話を聞いてみるだけ」のご相談からで構いません。

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学習塾のM&Aがここ数年で急増している3つの理由

京都府内でも、学習塾の譲渡相談が目に見えて増えています。背景には大きく3つの要因があります。

一つ目は、塾長の高齢化です。1990年代から2000年代に個人塾を立ち上げた方の多くが、いま60代後半から70代に差しかかっています。当時は「自分の教え方で生徒を伸ばしたい」という想いで開業した方が多く、講師として優秀でも、経営の引き継ぎを意識して後進を育ててきたケースは多くないというのが実情です。

二つ目は、講師確保の難しさです。少子化に加えて、若い世代の働き方が変わり、夜の時間帯に長く勤務するアルバイト講師を安定的に確保することが、年々厳しくなっています。塾長一人で授業も経営も担っていた塾ほど、人手不足のしわ寄せが直接塾長にのしかかります。

三つ目は、買い手の存在です。大手塾チェーン、地域の他塾、近年では教育系の事業会社が、既存の生徒を抱える個人塾を「事業ごと引き継ぎたい」と動いています。少子化のなかで新規開校するより、生徒数のある塾を引き継ぐほうが効率的だ、という判断が広がっているためです。

つまり、譲りたい塾長が増え、引き継ぎたい側も増えている。だからこそ、譲渡の相談が増えているわけです。

塾の譲渡を考えるとき、塾長が最も心配されること

ご相談に来られる塾長から、最初に出てくる心配ごとはほぼ決まっています。

「うちの塾を引き継いでくれる人なんて、いるのだろうか」
「生徒や保護者にどう伝えればいいのだろうか」
「講師たちはそのまま雇ってもらえるのだろうか」
「自分が手を引いたあとも、塾の名前は残るのだろうか」

どれも、塾を20年30年と守ってきた方なら、当然抱える不安です。

結論から言えば、いずれの問いにも一定の答えが用意できます。買い手の有無は、生徒数・立地・継続率といった条件によりますが、京都府内の個人塾でも譲渡が成立している事例は複数あります。生徒・保護者への伝え方には「契約成立後・引継ぎ前」という決まったタイミングがあり、塾長が動揺せずに済むよう、文面まで一緒に設計します。講師の継続雇用は契約条件として明確に交渉できます。塾名の存続は買い手との合意次第ですが、京都の地域名を冠した塾は、買い手側もブランド価値を理解して残すことが多いです。

ご相談の場で大事なのは、こうした不安を一つひとつ言葉にしていただくことです。「うちの塾なら大丈夫」と励ますことではなく、塾長の不安に合わせて条件を一つずつ組み立てていくのが、伴走者の役割だと考えています。

売れる学習塾と、売れにくい学習塾の違い

率直なお話をします。すべての学習塾が、買い手のついた譲渡を実現できるわけではありません。

買い手が前向きに検討する塾には、いくつかの共通点があります。

一つ目は、安定した生徒数です。一般には在籍生徒30名以上が一つの目安とされますが、地域や塾の種類で変わります。京都市内の個別指導塾なら、20名前後でも譲渡実例はあります。

二つ目は、生徒の継続率です。新規入塾より、既存生徒がどれだけ長く通い続けているかが、塾の価値を表します。学年が上がっても継続する生徒の割合が高い塾は、買い手から見て「収益が安定して見通せる」という強みになります。

三つ目は、立地です。駅近、住宅街の中心、学区の通学路沿いなど、生徒が通いやすい場所にある塾は評価が高くなります。逆に、塾長の自宅併設で立地条件が限定的な場合、買い手の選択肢は狭まります。

四つ目は、カリキュラム資産です。長年蓄積したオリジナル教材、定期テスト対策の過去データ、入試合格実績——こうした「形にして残せる資産」がある塾は、価格交渉でも有利になります。

逆に、売れにくい塾の特徴も率直にお伝えします。生徒数が10名以下、塾長個人の指導力に依存している、家賃と人件費でほぼ利益が出ていない、立地が限定的——こうした条件が重なると、買い手探索に時間がかかります。それでも譲渡が不可能というわけではなく、譲渡対価ではなく「引き継いでくれる人を探す」というスタンスでのご相談には応じられます。

M&Aで残せるもの、残せないもの

塾長がM&Aを検討するとき、頭の中には「何を残したいか」が必ずあります。

残せる可能性が高いものは、塾名・看板、教材やカリキュラム、講師の雇用、生徒との教室、塾長が築いた地域での信用、です。これらは契約交渉のなかで「残してほしい条件」として明文化することができます。

残せないものもあります。塾長自身が塾の顔として全面に立っていた場合、塾長が引退すれば「塾長先生がいないなら」と離れていく生徒は少なからず出ます。これはどの業界のM&Aでも起こることで、避けようがありません。

それでも、伝え方とタイミング次第で離脱を最小化することはできます。「塾長は引退するが、長年の講師がそのまま指導を続ける」「新しい代表は塾長と並走しながら引継ぎ期間を設ける」——こうした設計を契約の最初の段階に入れておくことで、生徒・保護者の心理的な動揺を抑えられます。

なお、塾長が個人保証で背負っていた借入金は、M&Aのなかで買い手に引き継ぐか、譲渡対価から完済するかを設計します。売主・買主が銀行に同行して事前承認を取得する流れになるため、ここは仲介者の経験が物を言う部分です。保証から外れる、ということを、契約締結のずっと前から逆算して動きます。

譲渡のタイミングは「学年が変わる前」が原則

学習塾の譲渡には、業種特有のタイミングがあります。

理想は、3月末の卒業・進級シーズンを越える前に契約を締結し、4月の新学期から新しい体制で動き出すことです。生徒は学年が変わるタイミングで自然と気持ちが切り替わるため、塾の体制変更を受け入れやすくなります。

逆に、9月や12月といった学期途中の譲渡は、生徒の動揺が大きく、保護者からの問い合わせも増えます。受験生を抱える塾なら、なおさら時期を選びます。

実務的には、4月の新学期スタートを目指す場合、その前年の8月から動き出すのが標準的です。買い手探索に3〜4ヶ月、条件交渉に1〜2ヶ月、契約準備と銀行調整に1ヶ月、引継ぎ準備に1〜2ヶ月、というスケジュール感です。

「思い立ってすぐ譲渡」というわけにはいかないからこそ、塾長が体力と気力を保てているうちに、相談だけでも早めにしておくことをお勧めしています。

M&Aの進め方の全体像

実際の進め方を簡単にご説明します。

第一段階はご相談です。秘密厳守で、塾の現状と塾長のお気持ちを伺います。生徒数や財務状況、塾長が「残したいこと」「譲れないこと」を整理する段階です。

第二段階は塾の評価です。譲渡対価の目安を、生徒数・収益・立地・カリキュラム資産から算定します。京都の小規模塾の相場感は、別記事「学習塾の売却価格の相場」にまとめていますので、そちらをご覧ください。

第三段階は買い手探索です。地域の同業者、大手塾チェーン、教育系企業——塾長が「ここなら任せてもいい」と思える買い手候補を複数あたります。塾名や住所は伏せ、ご希望を伝えていない第三者には情報が出ないようにして打診します。

第四段階は条件交渉です。譲渡対価、引継ぎ期間、講師の継続雇用、塾名の存続、塾長の関与期間など、契約条件を具体的に詰めます。

第五段階は契約締結と引継ぎです。基本合意書、最終契約書、引継ぎ計画——順番に書面を整え、契約日以降に生徒・保護者・講師への通知を行います。

全体として、ご相談から契約締結まで6〜9ヶ月、引継ぎ完了まで含めると1年程度を見込んでいただくのが現実的です。

学習塾の譲渡で、先に知っておきたい3つの注意点

最後に、ご相談の場でよく出てくる「これを先に知っていたら」というポイントを3つお伝えします。

一つ目は、教室の賃貸借契約の引継ぎです。テナントとして教室を借りている場合、賃貸借契約の名義変更には大家さんの承諾が必要です。長く借りている塾ほど、大家さんとの関係を丁寧に整理する必要があります。

二つ目は、教材の著作権です。オリジナル教材は塾の財産ですが、市販教材を加工して使っている場合、著作権上の整理が必要です。譲渡前に整理しておけば、買い手の警戒を避けられます。

三つ目は、FC加盟塾の場合の本部承認です。塾名が大手FCの場合、譲渡には本部の事前承認が必要です。本部によっては譲渡先を制限したり、譲渡手数料を求めたりする規約があるので、契約書を早めに確認してください。

これらは、塾長が一人で抱え込まずに、相談の段階でお話しいただければ、こちらで一緒に整理していきます。


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まずはご相談ください

塾を譲るかどうか決めかねている段階でも、構いません。
ご相談だけで「自分の塾がどんな選択肢を持っているか」を整理することができます。
京都府内・近隣エリアの個人塾の事業承継相談を、これまで多数お受けしてきました。

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