サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)を運営してきた。入居者がいる。スタッフがいる。でも後継者がいない。経営も苦しくなってきた。廃業しかないのか——そう思う前に、読んでほしいことがあります。
廃業を決める前に知ってほしいこと
サ高住の廃業は、通常の事業の廃業と大きく異なります。入居者の方の生活が、直接影響を受けるからです。廃業を決めた瞬間から、入居者への説明・転居先の確保・行政への報告という重い作業が始まります。そのプロセスは経営者にとって、精神的にも体力的にも大きな負担になります。
廃業のコストも見落とせません。原状回復費用・スタッフの解雇予告手当・入居者への引越し支援など、廃業に伴う出費は想定より大きくなるケースがほとんどです。手元に残る金額がほぼゼロ、あるいはマイナスになることもあります。
廃業とM&Aの違い
入居者への影響
廃業の場合、入居者の方は別の施設を探さなければなりません。高齢で、慣れた環境から離れることは、心身への影響が大きいです。家族への負担も計り知れません。
M&Aであれば、入居者の方は原則として同じ施設に住み続けることができます。運営者が変わっても、生活の場と支援の継続が守られます。「入居者に迷惑をかけたくない」という気持ちがあるなら、M&Aはその気持ちに応える選択肢です。
スタッフへの影響
廃業すると、スタッフは全員解雇になります。介護・福祉の現場で長年働いてきたスタッフの雇用が、一度に失われます。
M&Aであれば、スタッフの雇用を引き継いでもらうことが条件として交渉できます。全員の継続雇用が難しい場合でも、主要なスタッフの雇用を守ることを優先した交渉が可能です。
経営者の手元に残るもの
廃業では売却対価が得られません。建物の原状回復・設備の撤去・各種手続きのコストを差し引くと、手元にはほとんど残りません。
M&Aであれば、事業の価値——指定・入居者基盤・スタッフ体制・設備——が評価され、売却対価を受け取ることができます。個人保証の解除も期待できます。廃業のコストを避けながら、対価を手にすることができます。
サ高住のM&Aで評価されるもの
サ高住のM&Aでは、以下の要素が評価されます。
①都道府県の登録と介護事業所の指定
サ高住の登録・訪問介護や居宅介護支援の指定を新たに取得するには、時間と手続きコストがかかります。既存の登録・指定ごと引き継げるM&Aは、買い手にとって大きな価値があります。
②入居率・入居者の安定性
入居率が高く、入居者が安定して生活している施設は、収益の見通しが立てやすいとして高く評価されます。入居者との関係・家族との信頼関係も、引き継ぎ後の安定性を裏付ける資産です。
③建物・設備の状態
建物を自己所有している場合は不動産価値が加算されます。賃借の場合は、賃貸借契約の残存期間・条件が評価に影響します。設備の状態・バリアフリー対応の程度も査定の対象になります。
④スタッフ体制と有資格者
介護福祉士・ケアマネジャー・看護師などの有資格者が在籍し、引き続き働いてくれる見通しがあるほど評価は上がります。安定したスタッフ体制は、買い手が引き継いだ後の運営リスクを下げます。
「経営が苦しい」状態でもM&Aはできるか
赤字・経営難のサ高住でも、M&Aができるケースがあります。入居率が一定以上あり、指定・スタッフ・建物が揃っていれば、買い手がつく可能性はあります。ただし、経営状態が悪化するほど評価は下がります。
「もう限界」と感じる前に動き始めることが、最善の条件でM&Aを進めるための最大のポイントです。廃業を決めてからでは、買い手探しの時間的余裕がなくなります。
京都でのサ高住M&Aの特徴
京都市内・京都府内は高齢化が進んでおり、サ高住への需要が安定して続いています。介護事業を拡大したい法人・社会福祉法人からの買い手ニーズが継続しており、府内に限定しても買い手候補が見つかりやすい業種です。
また、京都市内は新規でサ高住を開設できる物件確保が難しく、既存施設の希少性が高い状況です。立地の良い施設は、エリア参入を狙う買い手から高く評価されます。
よくある質問
Q. 廃業を決めかけているが、今からM&Aに切り替えられますか?
切り替えられます。廃業を決めた後でも、行政への廃業届を出す前であれば、M&Aへの切り替えは可能です。入居者への説明前に、まず相談ベースでお話をお聞きします。
Q. 入居者や家族への説明はいつ行いますか?
基本合意が成立し、成約の見通しが立った段階で、売り手・買い手が協力して説明を行います。それまでは施設名・所在地を伏せた状態で買い手候補を探します。入居者・家族への早期開示は原則行いません。
Q. 行政(都道府県)への手続きはどうなりますか?
株式譲渡の場合、登録法人ごと引き継がれるため手続きが比較的シンプルです。事業譲渡の場合は買い手が新たに登録申請を行いますが、既存の実績・スタッフが揃っていることでスムーズになります。手続きの詳細はケースによって異なりますので、相談時にご説明します。
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まずはご相談ください
「廃業しかないかも」と思っている段階でも構いません。まずお話をお聞きして、M&Aが現実的な選択肢かどうかを一緒に考えます。
ご相談を、代表の吾郷が直接お受けします。


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