「従業員にはまだ言えない」──会社の引継ぎを決めた社長が抱える、誰にも話せない3ヶ月の話

相談に来られる社長の多くは、驚くほど淡々としています。「後継者がいなくて」「年齢的にそろそろ」「体力的に厳しくなってきて」。まるで天気の話をするように、事実だけを静かに並べる。表情はほとんど変わりません。

でも、私はその「淡々としている」こと自体が、この方がどれだけ長い間一人で抱えてきたかを物語っていると感じています。

事実だけを話す社長の、頭の中

M&Aを考え始めた社長は、決断した翌朝もいつもと同じ時間に出社します。従業員に挨拶され、取引先から電話が来て、昨日と変わらない日常が続く。でも頭の中はまったく違います。「この人たちは引き継いだ後もちゃんと働けるだろうか」「自分がいなくなっても会社は回るだろうか」。日常のすべてが「あとどれくらい続くのか」に変わっている。

それでも社長は、誰にも言いません。従業員に知られれば不安が広がる。取引先に伝われば条件を見直される。銀行に届けば融資の姿勢が変わるかもしれない。一番近い人にこそ言えない。だから感情を押し込めて、事実だけを口にするようになる。

相談の席で淡々と話す社長は、「感情がない」のではありません。誰にも言えない時間の中で、感情を押し込めることに慣れてしまった方なのです。

本音が出る瞬間

最初の面談で本音を話す方は、ほとんどいません。それは当然のことです。初めて会う人間に、何ヶ月も誰にも言えなかったことを話せるはずがない。本音が出てくるのは、「この人になら話しても大丈夫だ」と感じてもらえたときです。私はその瞬間を急かしません。淡々と事実を話す時間も、大切な時間だと思っています。

話すことは、決めることではない

「相談したらM&Aを進めなきゃいけないんじゃないか」。そう思って、相談すること自体をためらう方がいます。でも、話すことと決めることは違います。一人で抱え続けると、だんだん視野が狭くなります。誰かに話すことで初めて、「次に何を考えればいいか」が見えてくる。

淡々と事実を並べるだけで構いません。感情を出す必要もありません。社長のペースで、社長の言葉で話してもらえれば、それで十分です。

まず話を聞かせてください。決めていなくて構いません。

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